採用面接でよく行われていることの
なかにも、実はやってはいけない
「タブー」がある。
採用される側として面接300回、
採用する側で1000人以上を面接した
「ハイブリッド」な視点から
お伝えしていきます。
第6回は
「誰かの代わりを探す」
です。
代わりなどいない
以前受けた面接で
「給与計算の経験はありますか?」
「社会保険事務の経験はありますか?」
と、非常に具体的な業務内容を
矢継ぎ早に質問されたことが
ありました。
人事の仕事範囲は広いので、経験がない
ことも当然ながらあります。
「やったことがない」と答えたとたんに、
あからさまに残念そうな顔をされ、
質問がそこで終わりました。
明らかに、欠員補充をするための採用で、
退職する人がしている仕事をすぐに
引継ぎ、こなせる人、つまり「代わり」を
探しているだけなのだとわかりました。
そう悟った瞬間、この会社へ入社する
気持ちはまったく失せました。
強みと弱み
理由は二つです。
1つは、私という人間が
採用されるのではないから。
常に前任者と比較され、前任者と
同じ仕事をこなせる人という
存在でしかない。
そこに自分はないのです。
前任者と同じ仕事ができても
「できて当たり前」なのに対し、
できなかったことは
「こんなこともできないの?」
となる。
自分があげた実績ではなく、前任者の
仕事と比べての評価しかされない。
つまりマイナス評価をされる
可能性が非常に高いということです。
そんなのは「まっぴらごめん」です。
もう1つは、人の強みにではなく
弱みに注目する会社には未来はない
と考えたからです。
だれもが強みと弱みを持っています。
そして、成果をあげるのは強みに
よってであり、その強みを活かす
ために組織がある。
そして大きな強みがあれば、
それと同じくらいの弱みが
あるものです。
高い山があればその分、深い谷が
あるのと同じです。
ある分野ですごい強みを持っている
のに、ある分野に弱みがあるからと
いう理由で不採用にする。
そんなことを繰り返せば、その組織には
「大した弱みはないが強みもない」
つまり「凡庸な」成果しかあげられない
人ばかりがいるようになってしまいます。
誰かの代わりを探すことは、代わりが
できないという弱みに注目して採用して
いることに他ならない。
そんな目で採用していることこそが、
その組織の最大の弱みになる。