候補者は良くも悪くも面接官を見て
その企業を判断します。
面接官が担っている責任は重大です。
面接官は企業の価値観、文化を映す鏡。
この連載では、面接官に持っておいて
欲しい「心得」を書いていきます。
第5回は
「ホンネを話す」
です。
候補者は身構えている
候補者にとって、目の前に座っている
面接官は敵です。どちらかと言えば
邪魔な存在だと考えられています。
なぜなら、自分の発する言葉を
面接官がどう感じるか、どう
評価するかによって、採用されるか
どうかが決められるからです。
今日初めて会った面接官によって、
今後の自分の人生が左右されてしまう。
つまり「生殺与奪」を握られている
からです。
しかも、面接官がどんな人かも
わからない。だから評価ポイントも
わからず、思わぬ発言が「地雷」に
なるかもしれないという恐怖もある。
面接が進めばわかってくることも
あるでしょうが、少なくとも
面接が始まって最初のうちは、
相手の手の内が全く見えない。
だから、できるだけマイナス評価を
されないように身構え、悪い印象を
もたれないよう「正解」を言おうとする。
「面接を突破する」「採用試験に合格する」
という言い方がされること自体が、
自分の考えや本音はどうあれ
「試験に合格するように正解を導き出す」
ことに意識を集中している現れ。
こんな状態を作り出すことを面接官は
避けなければなりません。
そのためには、面接官のほうから
「ホンネ」を話すことがなにより
重要になります。
模範解答は必要ない
採用面接はペーパーテストじゃない。
正解を知っているどうか、いかに
ミスなく回答するかどうかは
まったくもって問題ではない。
採用面接は、その組織の価値観や
文化に合う人かどうかを判断する
ことが第一の目的です。
本音を隠した模範解答など、
なんの役にも立たない。
面接官は、ペーパーテストに
書かれる模範解答を採点する
ことが仕事ではないのです。
本当はどう思っているのか、胸襟を
開かせて話ができるように進めて
いくことが仕事です。
そのためには本音を話し、候補者に
本当のことを話してもいいんだという
安心感を持ってもらうことです。
そのような模範解答をする候補者は
たしかに害はなさそうに見え、
面接官としても安心感はある。
問題を起こしそうにない無難な人材は、
一緒に働くことを想定するなら悪くない。
しかしそれは「面接という場で作られた
仮の姿」でしかないのではないか?
仮の姿のまま面接を進めることになった
責任は、面接官であるあなたにあります。