候補者は良くも悪くも面接官を見て
その企業を判断します。
面接官が担っている責任は重大です。
面接官は企業の価値観、文化を映す鏡。
この連載では、面接官に持っておいて
欲しい「心得」を書いていきます。
第10回は
「小さな約束を守る」
です。
来なかった連絡
採用面接を受けて、面接官から
「今日の結果は一週間以内に
お知らせします」と言われたのに、
一週間たっても何の連絡もない
ことが何度もありました。
なんの連絡もないということは、
「不採用だ」ということでしょうが、
不採用の場合も含めて「結果を連絡する」
と約束したのは面接官のほうなのに、
それを破ったのです。
残念なことに、このことは決して
珍しいことじゃないのです。
面接後の連絡だけではなく、
書類選考の結果や問い合わせに
対する回答が、待てど暮らせど
なにもない、ということは。
こんな小さな約束も守れない
「不合格」な企業は案外多いものです。
数々の選考を受けてきた私の感覚から
すると、10社に1社はそのような
対応を採用候補者にしています。
単なる不注意であり故意ではなく、
単なる連絡漏れなのかもしれません。
したつもりがしていなかったという
だけのことかもしれない。
でも理由はなんでもいいのです。
問題なのは、連絡をしなかったこと
そのものにあるからです。
そして、この問題は大きな禍根を
残すことになる。
軽んじられている
求人に応募したことで、採用候補者と
あなたの会社とは、それがたとえ
書類選考段階であれ、面接まで
進んだ場合であれ「縁あっての」
ことのはず。
今回はたまたま採用には至らず、
社員としての関係を結ぶことは
できなったものの、ここでできた
縁はこれからも続く。
あなたの会社と顧客として、
取引先として、そしてファンとして。
その大事な関係を、まるで軽んじている
としか思えない対応の極致が
「何の連絡もしない」ことなのです。
小さな約束だからこそ、それが
果たされなかったときの落胆は
大きいからです。
そんな小さな約束でさえ
守る必要はないとみなされて
しまうほど、相手にとって自分は
どうでもいい人間なのか?
自分との関係などなくてよいと
思われているのか?
不採用の連絡などわざわざする
までもないと考えてのことなのか?
そうとしか思えない事態に直面する
のが「小さな約束を果されない」
ことの意味です。
面接官が採用候補者との小さな
約束をするときは、その約束が
小さいものであればあるほど
「必ず守る」という大きな決意で
臨むことが求められます。