候補者は良くも悪くも面接官を見て
その企業を判断します。
面接官が担っている責任は重大です。
面接官は企業の価値観、文化を映す鏡。
この連載では、面接官に持っておいて
欲しい「心得」を書いていきます。
第12回は
「悪情報から話す」
です。
早期退職者
3カ月から半年程度で退職に至っている
いわゆる「早期退職」歴がある人。
嫌う現場マネージャーも多いのですが、
このご時世ですからそうも言っていられ
なくなっています。
この早期退職者、新卒採用者なら
珍しくもないことです。なぜなら、
大卒の新卒採用者は3年以内に
3人に1人が退職するというデータは
よく知られており、ここ20年ほどは
変わらない傾向だからです。
1年以内に限っても、10人に1人は
辞めていくというデータもあるほど。
まだ社会に出たこともない学生さんが、
働くということに対して知識がないために
選択を誤った場合ならいざ知らず、
40歳を過ぎているような方で、なおかつ
複数回転職している人でも早期退職が
多くなっている。
転職市場が「超売り手市場」になって
自分をより高く評価しくれる企業に
サッサと移っていくということも
あるでしょうが、
「入社前に聴いていた条件と大きく
違っていた」という見逃せない理由で
早期退職に至っているケースが
少なからずあります。
採用担当者が、採用候補者がそれを
知れば入社しなかったであろう重要な
「悪い情報」をすべて隠していたために
それは起こっています。
面接官がつく「ウソ」
この人手不足のご時世でも、
なんとか人材を確保しようと
必死になった採用担当者のウソが、
早期退職を助長しています。
残業が多い、給料が安い、休みが少ない、
福利厚生が充実していないなど、悪い
情報、実態を話しては逃げられてしまう。
採用候補者に実態とはかけ離れた
ウソを並べたて、なんとしてでも
入社してもらおうとした結果、
「聞いていた話と違う」という
ミスマッチを引き起こしている。
採用担当者としては焦り、困り果てた末の
「ウソ」なのでしょうが、採用する
ことだけを目的にしてしまった結果だと
言われても仕方がない。
こんなことは早くやめたほうがいい。
なぜなら、
もはや、少しぐらい条件が悪くても
「黙って我慢して働く」
必要など、なくなっているからです。
少し前までは新卒で早期退職して
しまった人は不利になってましたが、
1年未満程度なら、「第二新卒」として
ほとんど新卒扱いで採用する企業も
多くなっています。
転職も当たり前になり、35歳転職限界説も
もはや死語でしょう。
1つの会社だけから給料をもらうのではない、
副業や複業をする人も増えていますし、
企業に所属しないフリーランスの働き方を
実践する人も増えていくでしょう。
包み隠さず組織の内情を、むしろ質問される
前でも伝えるぐらいでなければ、採用担当と
しての仕事は全うできなくなっています。
すなわち「企業の価値観を理解していて
文化に合う人材だけを採用する」という
役割です。