人事、採用、総務、経理などの
いわゆる管理部門は、売上や
利益をあげるわけではありません。
しかし、間接的に売り上げや
利益に貢献することはできます。
それができないのなら、存在意義が
ないと言ってもいい。
そのためには、人事、採用を
どうしていけばいいのか、何が
必要なのかについての連載です。
第3回は
「社交性と秘密主義」
です。
四角四面の対応
社員に気持ちよく働いてもらうこと。
その結果として成果をあげてもらう。
そのために人事部は存在しています。
将来の社員=採用候補者も同じです。
会社に貢献できる人材を採用すること
はもちろん、採用に至らなかった
人材に対しても誠意を尽くして
対応するのが仕事です。
広く胸襟を開き、現在の、そして
未来の社員のためになることであれば
なんでもする。
その覚悟と姿勢を、常に保っておく
必要がある、ということでもあります。
しかし一方で、人事・採用担当者は、
多くの法律や規則に縛られている
中で仕事をしています。
社員や採用候補者の要望に応え、
柔軟に対応したくても、状況が
それを許さないことがある。
自分だけではどうしようもない
法律や規則が存在している。
時には、そういう決定に至った経緯
すらも明かせないことだってある。
社交性と秘密主義。
この狭間で、多くの人事・採用担当者は
苦しんでいるのではないでしょうか?
こうした二律背反にいかに折り合いを
つけることができるのか?
それが人事・採用担当者の手腕である
と言えましょう。
最後は人間力
このバランス感覚を失えば、
「お役所仕事で融通が利かない」
「会社や自分を守ることがそんなに
大事なのか?」
「二言目には法律だのコンプライアンス
だのを持ち出してくる、まことに
鼻持ちならない連中だ」
こういう評価がつきまとい、だれも
人事部を相手にしなくなる。
想いや気持ちに対して法律や規則、
決まりを持ち出しておよそ人間的
ではない対応をすれば、だれもが
口を閉ざして何も言わなくなります。
社内のコミュニケーションを円滑に
することで、社員同士が協力し合い
生産性を高めることができるように
サポートする立場の人事部が、
一番のボトルネックになり、円滑な
コミュニケーションを邪魔になって
しまいかねない。
明日の食べ物にも困って生活保護を
求めて来ている人に対して、
やれ書類に不備があるだの、
やれ事実の確認に時間がかかるだの
と決まり規則を持ち出し、生活保護を
断る窓口担当者のような非人間的な
対応を、ともすれば人事担当者は
してしまいがちです。
そんな人事担当者にクレームを
つける社員はごく少ない。
多くは、そんな人事部の対応を
会社の対応とみなし、失望して
黙って会社を去っていく。
そうして、人事担当者が会社に
計り知れないが、決して表に
出ることのない損失を与えている。