人事、採用、総務、経理などの
いわゆる管理部門は、売上や
利益をあげるわけではありません。
しかし、間接的に売り上げや
利益に貢献することはできます。
それができないのなら、存在意義が
ないと言ってもいい。
そのためには、人事、採用を
どうしていけばいいのか、何が
必要なのかについての連載です。
第5回は
「ながら仕事」
です。
どれもが中途半端
「成果をあげる人は、自分の強みが
発揮できる仕事に注力し、しかも
一度に一つのことしかやらない」
こう言ったのは「マネジメントの父」
ピーター・ドラッカーですが、
人事・採用担当者はこれとは程遠い
状況に置かれています。
そして、そんな状況にあることが
問題であるということが周囲によく
理解されていません。
担当者本人だけでなく、企業に
とってもどれだけの害悪を
まき散らすことになるか?
人事部が成果をあげられないのは
担当者のせいではなく構造上の
問題なのに、担当者の能力のせいに
されてしまうことに、どれだけ
忸怩たる想いを抱いているか?
この危機的状況に、多くの企業は
気付くこともなく、目を向けること
すらなく「なあなあ」で済ませて
いるのが現状です。
それに対する人事・採用担当者の
対抗措置はただ一つ
「どの仕事も中途半端にしかできない
けど、仕方ない」という開き直りです。
このまま仕事を続けても成果が
あがらないことはわかっているけど、
そんなことを言ってもだれも
聴いてはくれないし理解もされない。
だったら「仕事をするフリ」を
しておくほうが賢明です。
音楽を聴きながら勉強
給与計算や社会保険事務などの、
やり方もスケジュールも決まって
いて工夫をする余地はあまりない
定型業務をやる一方で、やり方も
自由で工夫次第で結果が変わる
制度設計や人材採用という仕事も
こなす。
ここに人事評価や、現在のトピック
であれば「働き方改革」に対応する
ために様々な取り組みを行う事務局
のような役割も担当していること
でしょう。
ほかにも、各種ハラスメント対策や
LGBT対応、ダイバーシティ、
副業を認めるかなどにも対応する
必要があるでしょう。
一人二役も三役もこなしている
といえば聞こえはいいですが、
そんなことが可能でしょうか?
冒頭にもあったように、
成果をあげる人は一度に一つの
ことしかやらないのではないの
でしょうか?
こんなことをしていては、
音楽を聴きながら勉強している
ようなもの。
「ながら仕事」で成果が出るでしょうか?
それでも、なにも問題は起こりません。
表面上は企業活動は円滑に進んでいくし、
売上も利益も順調に上がります。
あるところまでは。
問題が表面化した時、もはや
だれも解決できないとろこまで
来ているでしょう。
対策は、人事・採用担当者の
負担を理解して、できる限り
その負担を軽減していくこと。
1つのことに集中できる環境を
整え、成果を出せる仕事の
やり方ができるように、組織として
何ができるのかを考えることです。