人生100年時代と言われて久しい。
長くなった人生、今までとは
働くことそのものの意味が
大きく変わりつつあります。
1つの会社で3年と働くことがなく、
最終的に組織に見切りをつけた
著者が提言する
「人生100年時代 会社からの卒業」
第1回は
「退職とは違う」
です。
本当の退職理由
中途採用の面接官をしていると
人が会社を辞める理由を
たくさん聞くことになります。
候補者の多くは
「キャリアアップのため」
「新しいことに挑戦したい」
「もっと世の中の役に立つ
仕事がしたい」
といった理由を口にします。
後ろ向きな理由、つまり
「給料が安い」「休みが少ない」
という待遇面での不満や
「嫌な上司・同僚がいる」という
人間関係での悩み、あるいは
「人事評価に納得がいかない」
「希望の仕事をさせてもらえない」
という人事面での不満。
これらを口にする人はほとんど
いませんが、言わないだけで、
我慢できないくらい嫌なこと、
不満があるから退職しているのだ
と思っていました。
突き詰めれば、人が会社を辞める
理由なんて「お金」と「人間関係」
しかない!
面接という場所だから本当の
理由は言えないので、事前に
考えた「作文」を口にしている
だけだ!
そう思っていました。
でも、違っていたのかもしれない。
彼ら候補者が口にしていた
「退職理由」は、作文ではなく
本心だったのかもしれない。
独立してフリーになって2年近く。
自身の会社員時代を振り返ってみて、
そう感じるようになりました。
解放区
よく考えてみると、私自身、4回の
転職をしてきましたが、辞めた理由は
お金でも人間関係でもなかったと
思い至りました。
私が4回退職した理由に
共通していたのは
「自分がやっている仕事が
何にも貢献できていない」
という罪悪感、あるいは焦燥
だったように思います。
自分の仕事に価値がなく、いまこの
瞬間に消えてなくなったとしても、
誰にも気付かれないのではないか?
そんな仕事をしている意味は
あるのか?
貴重な時間を、何の価値も生み
出していないことに使って、
このまま人生を終えてしまうのか?
そう考えるとたまらなくなり、新天地を
求めて退職していたように思います。
「何にも貢献できていない」という
想いからは、退職することで一時的には
解放されることができました。
しかし、何年かするとまた同じ想いに
苛まれるようになり、また転職。
最初は3年間隔だったのが、次第に
短くなり、ついには1年ももたなく
なってきたところで、企業からは
「卒業」することにしました。
組織の中には私の解放区はなかった
ということが、やっとわかった。
だけど、お金や世間の目を気にして
踏み切れなかっただけだった。
これから、ますます企業を退職する
という名の「卒業」をする人が
増えるでしょう。
決してその企業のことが嫌に
なったのではなく
「ここでの自分の役割は終わった」
「学ぶべきことはすべて学んだ」
「お互いにとってより良い選択を」
そういう想いで企業を離れることが
「卒業」だと定義できるのでは
ないでしょうか?
そのような行動を起こす人が
増えたら、どのような変化が
生まれるのでしょうか?
まずは次回、企業にとっての
働く人に対する姿勢ついて。
第二回は
「見限られる企業」
です。