採用面接では、候補者が事前に
「模範回答」を用意することが
できない質問をどれだけできるか
が成否を左右します。
この連載では、候補者が深く
考えていないと答えられない
質問例を挙げていき、実際に
面接で使うための方法、注意点を
お伝えします。
第五回は
「即興でも10分話せるネタは?」
です。
【この質問の意図】
プレゼンテーション能力、
臨機応変に対応できる能力が
わかるのはもちろんですが、
候補者のこだわりを見ることで
「人となり」がわかります。
お笑いに例えるなら、事前に
入念にネタを作り、何度も
練習を重ねた「漫才やコント」
ではなく、フリートーク力を
見れば本当の実力がわかる、
ということになります。
【回答のどこを見るか】
実際に10分間、即興で話をできるか
どうかが問題ではありません。
実際に話してもらう必要もありません。
どんなテーマについて話をする
つもりなのか?その導入部分だけを
話してもらいます。
その話を聴いていて、あなたがストレスを
感じなかったか、もっと話を聴きたいと
思ったかどうかで判断します。
そして、そのようなムチャブリをされて
選んだテーマは、候補者が日ごろから
関心があり、詳しいことでもある
分野のことでしょうから、そこから
候補者の本当の姿も見ることができる。
【効果】
面接に臨むにあたって、候補者は
事前に質問を予想し、模範解答を
用意してシミュレーションをして
いるものです。
志望動機や退職理由、強みや弱み、
成功したこと失敗したこととその
原因、尊敬する人とその理由・・・
あらかじめ予想できる質問は多く、
その質問を避けようとするのは
なかなか難しい。
この質問は、おそらく予想を
超えているでしょうし、もし
予想していたとしても10分
話すことは相当難しい。
しかし、10分間話すよりも、実は
10分間「話を聴いてもらうこと」
のほうが、数倍難しいのです。
話しながら相手の反応を見て
話し方や内容を変えていく
必要があるからです。
そのことを理解しているかどうかを
確かめるのが、本当の狙いです。
サラリーパーソンはなにかと
誰かの「許可」をもらわないと
仕事ができないのが現実です。
誰かの許可がなければ、ペン1本
であっても買えはしない。
相手の興味を引き、話を聴きたいと
思わせ、納得してもらうための
プレゼン能力が重要です。
仕事を進めていくためには、
プレゼンが欠かせないのです。
新商品の企画であろうと、
コスト削減のための改善提案
だろうと、自分の実績をアピールする
ことであろうと、うまくプレゼン
しないと仕事ができません。
漫才やコントの賞レースのように、
持ち時間が決まっていて、その間は
どんなにネタがつまらなくても
強制終了させられることがない
というわけではありません。
つまらない話は、聴いてさえもらえ
ないのです。