採用面接では、候補者が事前に
「模範回答」を用意することが
できない質問をどれだけできるか
が成否を左右します。
この連載では、候補者が深く
考えていないと答えられない
質問例を挙げていき、実際に
面接で使うための方法、注意点を
お伝えします。
第六回は
「最も『許せない』ことは?」
です。
【この質問の意図】
どんなことに最も怒りを感じ、
そして許せないと思うのか?
を知ることで、その候補者の
価値観がよくわかります。
許せないという感情は負の
感情です。面接という場では
マイナスのことを発言するのは
良くないと思われています。
退職理由が前向きなことに
すりかえられることが多いのも
そのためです。
マイナスの感情をあえて明らかに
してもらうことで、本心を見せて
もらうということを狙っています。
したがって
「最も喜びを感じること」
という質問はNGです。
【回答のどこを見るか】
許せないことのなかでも、
「なぜそれが一番なのか」
その理由をきっちりと示して
いるかどうかを見ます。
マイナスの感情を面接では明らかに
したくないので、幾分マイルドな
話をしている可能性があるからです。
具体的なエピソードと一緒に
話されているかどうかも重要です。
本当の部分を隠そうとしていないか、
まして作り話ではないかどうかを
確かめるために、
「なぜそれが一番許せないのか」
その理由をはっきり話してもらう
ことが重要です。
【効果】
履歴書・職務経歴書には
「うまくいったこと」
「挙げた実績」
「自分に都合のいいこと」
ばかりが書き連ねられています。
悪い部分が書いてあることは
ほとんどなく、なかったことに
なっているか、お化粧されて
「前向き」なことに置き換えられて
いることがほとんどです。
「一番許せないこと」を、実際に
あったエピソードと一緒に話して
もらうことで、履歴書・職務経歴書
には書かれていない、候補者の
「黒歴史」を垣間見ることができます。
実際のところ、黒歴史がない人なんて
いません。多かれ少なかれ、隠して
おきたいことはあるし、忘れたいような
失敗や苦い経験を抱えているものです。
それが見えない人は人間ではありません。
その部分も含めて、目の前の候補者と
一緒に働きたいと思うかどうかを
みるのが面接という場所ですから。