採用面接では、候補者が事前に
「模範回答」を用意することが
できない質問をどれだけできるか
が成否を左右します。
この連載では、候補者が深く
考えていないと答えられない
質問例を挙げていき、実際に
面接で使うための方法、注意点を
お伝えします。
第九回は
「あなたの気持ちが伝わらない人は?」
です。
【この質問の意図】
仕事はチームで行うものなので、
現在いるチームメンバーと候補者が
「相性がいいかどうか」
を判断するための質問です。
どれだけ言葉を尽くしても、
誠心誠意の対応をしても
自分の気持ちが伝わらない
相手というのはいるものです。
そういう人同士は、お互いどれだけ
がんばっても一緒に仕事をする
ことは困難です。努力でどうなる
ものではなく、相性が合わない。
一緒のチームにしないこと。
それだけが唯一の解決策です。
【回答のどこを見るか】
気持ちが伝わらなかった事例と
して候補者が語るエピソードが、
単なるコミュニケーション不足では
ないかどうか、を見極めることです。
何の努力もせずにお互いの気持ちが
伝わる「ツーカー」の関係にでも
ない限り、自分の気持ちを伝え、
相手の気持ちを推し量る努力は
必要です。
自分の気持ちが伝わらない人の
「人種」として候補者が挙げるのが、
単なる「好き嫌い」でないかどうか
も確認することです。
人が集まれば、みんなが仲良しという
ことはほぼなく、気に入らない人が
混じっているのが普通です。
職場でもそれは同じことです。
好きではない人ともお互いの能力を
認め合い、共通の目的に向かって、
仕事上では協力することは可能で
あるはずです。
それを拒否し、避けるような人は
どんな場所でもうまくいくことは
ないでしょう。
その候補者自身が「ジョーカー」で
ないかどうかを確かめましょう。
【効果】
候補者自身が、職場での人間関係を
壊す「ジョーカー」である可能性に
気付くことができます。
候補者が語る退職理由も
上手くいった仕事上の実績も、
突き詰めれば人間関係の問題が
大きく影響した結果です。
人間関係がうまくいっていたか
どうかで、退職するかどうか、
仕事がうまくいくかどうかが
大きく左右されます。
しかし、面接の場では、あくまで
候補者自身の主観で事情が語られる
という限界があり、客観的事実は
なかなか見えてこない。
その限界を突破するには、
周囲の人と、普段どのように
コミュニケーションを取っているか。
その取り方を、具体的な事例を
掘り下げて質問していって判断する
よりほかにはないのかもしれません。