採用面接では、候補者が事前に
「模範回答」を用意することが
できない質問をどれだけできるか
が成否を左右します。
この連載では、候補者が深く
考えていないと答えられない
質問例を挙げていき、実際に
面接で使うための方法、注意点を
お伝えします。
第十回は
「行動しなかったことは?」
です。
【この質問の意図】
あえて「行動しなかったこと」を
質問することによって、候補者の
思考回路を知ることができます。
なぜなら、履歴書・職務経歴書に
書かれていることや面接で語られる
ことは、なんらかの「行動した結果」
ばかりだからです。しかも、候補者に
不利になるような「結果」は除外
された状態です。
候補者の術中、シナリオ通りには
面接を運ばせないようにする
ために有効な質問です。
【回答のどこを見るか】
「行動しない」選択をしたことが、
諸般の事情を考慮した結果であり、
それが最適だと判断したうえでの
ことかどうかを見ます。
結果として、その判断がまちがって
いたかどうかも問題ではありません。
思いついたらすぐに行動して、
早く失敗することが良いことだ
という考えもあるでしょうが、
じっくり考えるということも
また必要です。
行動しなかったことがすべて
「悪い」ことではなく、
なぜやらなかったのか?と
責め立てるべきことでは
ありません。
重要なのは「やるやらない」を
どのように判断するかという
その過程であり、その結果では
ありません。
【効果】
履歴書・職務経歴書にも書かれて
いない。候補者の別の一面を見る
ことができるのが最大の効果です。
候補者は自分に都合のいいことを
選んで書きますし、話します。
行動しなかったことは、その結果が
存在しないのですから、書くべき
こともなく話すべきこともないので、
あえて質問をしなければ語られること
もありません。
履歴書・職務経歴書という形で
「見えていること」にばかり
気を取られることなく、そこに
書かれていないために
「見えていないこと」に光を
当てることによって、まさしく
候補者の新たな一面にスポット
ライトが当たる、と言えましょう。