採用面接では、候補者が事前に
「模範回答」を用意することが
できない質問をどれだけできるか
が成否を左右します。
この連載では、候補者が深く
考えていないと答えられない
質問例を挙げていき、実際に
面接で使うための方法、注意点を
お伝えします。
第二十回は
「墓石になんと刻まれたい?」
です。
【この質問の意図】
候補者が大事にしている
「価値観」「人生の目標」を
確認します。
お気づきの方もいるとは思いますが、
この質問は伝統的なものです。
というのもこれは、著名な経営学者
であるピーター・ドラッカーの著書で
有名な一節
「何によって憶えられたいかね?」
という質問の変形バージョンです。
仕事は人生の大半をしめる非常に
重要なものです。
仕事を通じて、人は人間としての
存在や生きる意味を見出すもの。
答えるのは難しい質問ではあります。
真剣に生きていても、答えが見つからない
ことも十分にあり得ます。
しかし、確実に言えることは、単なる
お金目的のために仕事をしている人
には、この質問には答えられない
ということです。
お金のために働いている人と一緒に
働きたいですか?私はごめんです。
【回答のどこを見るか】
揺るぎない価値観と人生の目標を
持っていること、そのものが重要な
ことです。正しい回答はありません。
共感できなかったのなら、一緒に
働くことをやめておけばいいだけ
のことです。
もっといえば、今日初めて会った
ばかりの面接官にしか過ぎない
あなたには、一人の人間の価値観や
人生の目標を否定する権利など
ありません。
回答を否定することだけは、絶対に
やってはいけないことです。
【効果】
候補者の回答に、あなたがまったく
共感出来なかったとしたら、
一緒に働くのはやめておいた
ほうがいいでしょう。
いくらスキルや経験があっても、
目的を共有できない人は一緒に
仕事はできません。
価値観がぶつかることもある
でしょう。まったく同じ価値観は
ありえないからです。
しかし、方向はおおむね一緒で
ないと、仕事を一緒にすることは
不可能です。
この質問によって、入社した後に
「なんか違う」「なんか合わない」
という思いを抱くことになる事態を
避けることができます。