この連載は、人材採用において
「できる人」を採用するために、
注目して見るべきポイントに
ついて書いていきます。
第1回は
「利害関係のない人へのありがとう」
です。
ちょっとした裏の顔
飲食店の店員さん。
駅改札にいる駅員さん。
図書館の貸し出し係さん。
このような、自分がお客の立場に
ある時に接する人に対して、
尊大な態度を取る人がいます。
まして「ありがとう」の言葉を
かけることなどありえない。
普段はそうでもないのに、
ちょっとした裏の顔を見た
気分になります。
出し惜しみするようなことでも
ないですし、言うだけでその場が
和やかになり、気分がよくなる
魔法の言葉だと思うのですが、
使われる機会も数も限られている。
こういう人に限って、自分が
お客様に対する場面であったり、
評価される立場になった時にだけ、
率先してへりくだり、バカ丁寧に
なるものです。
採用するにあたっては、こういう
人でないかどうかを見極めることが
重要になります。
採用現場では
あなたが面接官なら、あなたの前では
候補者は本当の姿を見せることは
期待できませんから、他の人の力を
借りましょう。
例えば、会社のオフィスではなく、
カフェなどのオープンスペースで
候補者と会って話しましょう。
そのような場所では面接はできない
でしょうから、ざっくばらんな雑談と
いう形などで。
その狙いは、あなたを含めた
会社の外にいる「利害関係のない人」
にどう接するかを観察すること。
具体的には、オーダーしたメニューを
持ってきてくれた店員さんに
「ありがとう」を言うかどうか?
会計のあとに「ありがとう」を
言うかどうか?
店員さんにも丁寧な口調と態度で
接しているかどうかです。
言う必要もやる必要もないことですが、
それでも言うし、やるということが、
誰に対しても変わらない、謙虚な
態度を示しています。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
ということわざがあります。
現実にはこの反対で、下の人間に
対して尊大な態度をとる「上役」を多く
見てきましたが、あるところで出世が
止まってしまった。
社長や役員にまで上り詰めた人は、
今にして思えば、自分のような
末端の人間に対しても誠実な態度で
接し、気を配り、気にかけてくれた
人でした。
そのことは今でも憶えていますし、
感謝しています。その評判と評価
こそが、原動力なのでしょう。