この連載は、人材採用において
「できる人」を採用するために、
注目して見るべきポイントに
ついて書いていきます。
第4回は
「評判を大切にしている」
です。
サイレントお祈り
就活用語のなかに
「お祈りされた」
というものがあります。
これは「不採用になった」ことを指す
言葉で、語源は、不採用通知の末尾が
「貴殿の今後の益々のご活躍を
お祈り申し上げます」で結ばれて
いることからです。
このように不採用通知が来ているなら
まだいいほうで、なかには採用不採用の
連絡すら届かないことも珍しくない。
そういう場合を、タイトルにもある
「サイレントお祈り」といい、
すこぶる評判が悪い。
企業からすれば、何十人、何百人と
いる「不採用者」一人一人のことなど
どうでもよく、不採用になったことも
「連絡しないことで自然に伝わる。
そんなことはささいなことだろう」という
ぐらいの軽い気持ちなのかもしれない。
しかし、そんな「ささいなこと」で
落とした評判が、企業に与えるダメージは
計り知れないことに気づいていない。
私も就活時、転職時とも経験が
ありますが、本当に気分が悪い。
二度とその企業のことは思い出したく
ないし、その企業の製品は
使いたくないとさえ思う。
怒りをぶちまけようとすれば、ネットが
ある今の時代は簡単です。拡散も簡単。
友人や家族が就職しようとしていると
知れば、このエピソードを持ち出して
全力で止めるでしょう。
サイレントお祈りは、ささいな手間を
惜しんだために、企業イメージも
将来の顧客も同時に失う、まぎれもない
愚行なのですが、後を絶ちません。
音信不通
採用候補者にもこのような
愚行を犯す人は多い。
面接の無断キャンセルや
突然連絡が取れなくなることが
「サイレントお祈り」に相当する
行為ですが、これも珍しくは
ありません。
もう他で内定が取れたから、
「選考進んでいるけど、もはや
用なし。どうでもいい」からなのか、
その後の連絡はまったく取れない。
音信不通になります。
「他で就職が決まったので選考を
辞退させていただきます」
ひとこと連絡するだけのこと
なのですが、それをしない。
そんな「ささいなこと」を怠った
ことによって、自分の評判が
どれほど傷つくことになるのか、
まったく考えていない。
この先、あなたと私が関わる
ことがないと、言い切れますか?
私が転職して他企業の採用担当者に
なって、あなたと会うことになる
可能性がないと言い切れますか?
取引先の担当者や顧客として
あなたと関わることが、今後
一切ないと言い切れるのですか?
そういう記憶は残ります。消えません。
自分の都合だけを考え、相手のことを
踏みにじる人間であるということは。
こういうことをする人間を採用
することは、厳に避けなければ
なりません。