この連載は、人材採用において
「できる人」を採用するために、
注目して見るべきポイントに
ついて書いていきます。
第10回は
「失敗を隠さない」
です。
欠落
多くの履歴書・職務経歴書に
欠落しているものがあります。
それは「失敗経験の記述」です。
履歴書・職務経歴書は書類選考に
かけられ、面接に呼ぶかどうかを
判断する唯一と言っていい材料。
ですから、自慢の経歴やスキルを
存分にアピールし、未達成に終わった
ことや失敗したことは記載されないし、
そんなスペースもない。
しかし、優秀な人材であれば、
果敢に新しいことや困難なことに
挑戦しているものです。
その分だけ失敗も多くなるのが
当たり前です。
その記載がないのが不自然には
感じませんか?
なにも失敗をしていないことは、
大ヒットした「あの医療ドラマ」
でもない限り、なんのアピールにも
なりません。
むしろ、何にも挑戦することなく、
無難なことしかしていない普通の
人材だという可能性を疑うべき
ことなのです。
あえて未達に終わったことや失敗を
書かせる履歴書・職務経歴書の形式
を用意し、面接の質問でもその点を
尋ねることは必要なことです。
しかし、そこで語られる失敗談は
あらかじめ厳選され用意されている
「言ってもいい失敗」である
可能性が大きい。本当にマズイ
ことを隠すためであるといっていい。
そして最終的には、回答の結末が
「それが次の成功の役に立った」
とか
「今の自分があるのもそのおかげだ」
などというような
「プラスのこと」に転換されて
終わるというシナリオができている。
採用する側が未達事項や失敗した
ことに焦点を当てようとすると、
候補者の術中にはまってしまって
いるだけの結果に終わるでしょう。
自分から話すか?
優秀な人材は、質問されて答えるの
ではなく、自分から失敗談や
未達に終わったことを話します。
たとえ、かなり大きな失敗で
知られるとマズイことであっても
話します。
なぜなら、面接はそういうことも
含めて披露し、そのうえでも
一緒に働くことができるかどうか
という本音をぶつけ合うための
場所であることを、優秀な人材は
心得ているからです。
なにか不利なことを隠してとにかく
面接に受かろうとか、攻略しようとか
いう考えがないのです。
それでダメなら仕方がない、縁が
なかったか、面接官と合わなかった
だけである。自分を偽って入社しても
ろくなことがない。それだけはしない
という姿勢を貫いているのです。
失敗を隠すどころか、進んで披露する
ことができるかどうかが、優秀か
そうでないかを判断する1つの
材料です。