どんなに優れたスキルや経験を
持っていても、基本マナーが
デキていないがために
「一瞬にして敗北」することに
なった人をたくさん見てきました。
面接を受ける側の候補者として
だけでなく、面接をする面接官と
しても豊富な経験を持つ視点から、
面接で「瞬殺」されない方法を
お伝えします。
第10回の「基本マナー」のテーマは
「自分の言葉」
です。
借り物競争
面接官として最も聞きたくないのは、
候補者が自信たっぷりに話すものの
空虚でしかない「借り物の言葉たち」
です。
「借り物の言葉たち」とは、
面接対策をしっかり行う過程で、
本当のところとはかけ離れて
しまった「面接用模範回答」の
ことです。
面接用の退職理由。
面接用の尊敬する人物。
面接用のキャリアプラン。
口から出まかせの空虚な言葉たちは、
面接が終わった後はもちろん、
面接中の部屋の中にも所在なげに漂う。
面接官の耳には入るものの、なにも
頭に残りません。
もううんざりです。「借り物の言葉たち」は
まったくの創作であることも珍しくない。
それを堂々と面接で話せば詐欺的行為にも
なるようなことです。
虚偽の内容を提示することによって
労働契約を結べば、それは詐欺以外の
何物でもないのですが、それはこの際
問題ではありません。
問題なのは、借り物ではなく本物の
持ち物によって勝負することを
許してしまう、面接官の在り方
そのものです。
面接官がしっかりしていれば、
そんな借り物競争は早々に
終わらせることができます。
一言、はっきりと言えばいいのです。
「本当のところを教えてください」
それでもなお、借り物の言葉を
吐き続ける候補者には、もう
お帰りいただくしかありません。
デキる人はそもそも、借り物に
頼らなくても自分の持ち物で
充分に勝負できるものです。
本物を持っていないニセモノの
候補者を面接に呼んでしまった
ことのほうを、面接官は恥じる
べきなのかもしれません。
もしそれができないなら、少なくとも
借り物の言葉には耳を貸さないこと
ぐらいはしましょう。
そうしないと、壮大な時間のムダ
づかいになります。