人材採用を有利にする 「交渉術」 Vol.1「年収交渉には応じない」


採用担当者は、多くの交渉ごとに

日々、さらされている。

しかもかなりヘビーな交渉だ。

相手も候補者だけでなく、社内

の人間であることも多い。

 

そんな交渉事を有利に進め、

人材採用しやすくする環境を

創ることをテーマに連載。

 

第1回の「交渉術」のテーマは

「年収交渉には応じない」

です。

 

最後のカード

 

入社に至るかどうかの瀬戸際に

なる交渉が「入社条件交渉」だ。

 

入社前にいろいろと入社後の

待遇について交渉と最終確認が

行われるが、

ここで安易に、年収金額での

交渉に応じてはならない。

 

それはどうしてもやむを得ない

場合にだけ切る「最後のカード」

すべきであり、多くの場合

切ってはならないカードである。

 

なぜなら、年収金額を上げてでも

採用しなければならない、極めて

優秀な人材は滅多にいないからだ。

 

しかも、そんな優秀な人材の

多くは、年収金額の多寡には

反応を示さない。

 

優秀な人材が求めるのは成長の

機会であり、なにか価値ある

ことに貢献できる環境である。

使命感で動いているのだ。

 

歴史上の偉人と呼ばれる人に、

金で動いて偉業を達成した

人物がいるだろうか?

 

自分から年収金額のアップを

求めてくる候補者もいるが、

この交渉には絶対に応じず、

即不採用にすべきだ

金目当ての、取るに足らない

人材である可能性が高い

からである

 

金に執着する人間は、もっと

高い金額を提示してくる相手が

現れたら、簡単にそっちに

尻尾を振る。裏切る。

 

そんな人材は、どんな状況で

あっても願い下げにすることが

何よりも肝要である。

 

足元を見られている

 

年収金額の交渉をしたがる

候補者は、採用担当者の足元を

見ている卑怯者だ。

状況的に見て、採用担当者が

交渉に応じないことは難しい

だろうと推測しての行動だからだ。

 

主に二つの点での推測を

していると考えられる。

 

一つ目は、これまでかけた

費用や時間をムダにするかも

しれないことは、簡単には

できないだろうという推測だ。

 

二つ目は、採用担当者が自分の

評価をみすみす下げるような

ことはしないだろうという推測。

 

例えば、社長を始め役員との面談も

果たして、一緒に働くことになる

メンバーとも「面通し」が終了して

いるという状況があるとする。

 

もはや入社は確定的だという雰囲気が

出来上がっているようだし、もはや

自分の採用決定は覆ることはない。

 

そう判断して、ここで採用担当者が

わずかな年収アップに応じなかった

ことで採用に至らなかった。

そんな事態になれば、これまでかけた

費用も時間も無駄になる上に、自分の

せいにされ評価がさがる。

そのことを恐れているのでは?

という考えだ。

 

いずれも、とんだ見込み違いである。

採用担当者は、いつでも採用選考を

終了する覚悟と権限をもっている。

その自覚をもって、毅然とした

態度を取ることが採用担当者の

仕事である。

 

年収金額の交渉には応じないという

姿勢によって、社内外にその覚悟と

権限を示すことができる。

そうして周囲に認識された

「覚悟と権限」が、採用活動を有利に

進めるために必要なカードである。

 


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