採用担当者は、多くの交渉ごとに
日々、さらされている。
しかもかなりヘビーな交渉だ。
相手も候補者だけでなく、社内
の人間であることも多い。
そんな交渉事を有利に進め、
人材採用しやすくする環境を
創ることをテーマに連載。
第5回の「交渉術」のテーマは
「いつでも面接終了
できると伝える」
です。
採用面接における安楽死
意外に思われるかもしれないが、
設定された予定時間いっぱいを
「有効に」使って採用面接が
行われることは意外なほど
少ない。
その理由は、面接途中ですでに
「採用不採用」の判断が終わって
いて、「時間調整」が行われて
いることが多いからである。
たとえば1時間の面接を行うとして、
前半でほとんどが決していることが
多いということだ。その時点で
面接官はもうすでに
「この候補者はないな・・・」と
判断している。
だがあまりに早く面接を終了すると
印象が悪い。不採用を早々に判断
したことも悟られてしまう。
そこで面接官が採る行動は?
もう聞きたいこともないが、まだ
時間はあるので、調整のために
「何か質問はありますか?」と
無駄な「面接の延命処置」をする
ことである。
だが、こんなことをする意味は
あるのだろうか?採用する可能性は
もはやないのに、空虚な質問をして
面接を続ける意味が?
早く終わらせて「安楽死」させて
あげることができるなら、そうした
ほうが良いはずだ。
だから、面接の最初に
「いつでも面接を終わらせる」
ことができると伝えることだ。
それは面接官側からも、候補者側
からも可能であることも伝える。
ストッパー
面接途中での早期終了を望むのは
面接官だけではない。
候補者の側でも、面接の最中に
「この会社はもうないかな・・・」
と判断し、早く面接が終わって
欲しいと願うことがある。
わたしも何度もそう思ったことが
ある。こんな会社で、こんな人と
一緒に働くのはごめんだ、と思った
ことが。
いつでも面接終了を申し出ても
いいと伝えられていても、実際には、
候補者のほうから面接の終了を
申し出ることは難しいだろう。
だから面接の途中で
「まだ面接を続けてもいいか?」
ということを、面接官のほうから
確認することが必要である。
だらだら続く消化試合のような面接を
「止める」ストッパーは、面接官の
ほうからすべきである。
言い出しにくいのはわかる。
この質問によって得られるのは
「もうあなたは採用の可能性はない」
もしくは
「もう御社に入社する意思はない」
と言うに等しい行為なのだから。
だが、それよりも、必要のない
面接を長引かせ延命処置をして、
安楽死を認めないことのほうが
罪は重い。
なぜなら、何よりも重要な
「時間」という資源を殺す
ことになるからだ。
時間より重要なものはない。
そのことに配慮した行為は
その時は腹が立つとしても、
高く評価されることだろう。