採用担当者は、多くの交渉ごとに
日々、さらされている。
しかもかなりヘビーな交渉だ。
相手も候補者だけでなく、社内
の人間であることも多い。
そんな交渉事を有利に進め、
人材採用しやすくする環境を
創ることをテーマに連載。
第9回の「交渉術」のテーマは
「お金の話は逃がさない」
です。
早く通っておくべき道
面接の場では避けられがちだが、
一刻も早く確認しておいたほうが
良い事項がある。
それは、候補者が
「どれくらいお金が欲しいと
思っているか」
ということである。
もっと具体的に言えば
「これよりも低い金額であれば
入社することはありえない
年収金額はいくらなのか?」
ということである。
この点について具体的な金額を、
候補者の口からはっきりと
引き出すことが重要である。
もしそれが、あなたの会社では出すことが
出来ない金額なら、その時点で選考を
終了せざるを得ないのかもしれないが、
何か問題があるだろうか?
いずれにしても入社には至ることは
ありえない候補者に使う時間が短縮
できたのだから、むしろ喜ぶべき
ではないだろうか?
選考が進んで内定が出て、入社するか
どうかを決める段階になって初めて
「どれくらいの給与額になるか」
具体的な金額が書面で提示されるのが
通常なのかもしれない。
だが、提示した金額が、候補者の
希望金額からすればまったくお話
にならない金額だったとしたら?
それまで積み重ねてきた選考は
すべてが無駄になる。
ゆえに、できるだけ早い段階で
年収金額についてはしっかりと
候補者の考えを確認することが肝心だ。
具体的な金額を口にしてもらうまで
引き下がってはならない。
実際には「お話しにならない」
金額になることは少ないだろう。
募集要項で「給与レンジ」が明記
されていて、募集ポジションに
支払われる年収額が
「〇〇万円~■■万円」だと
なっているからだ。
しかし、それだけで給与金額に関して
ある程度のコンセンサスが得られて
いると勝手に考えていいのだろうか?
もし初回提示では合意に至らなかった
としても、交渉の余地があると考えて
いいのだろうか?
話し合いをすれば合意に至ると考えて
いるのは、あなたのほうだけでは?
少し見込みが甘く、初回提示の時点で
候補者は落胆し、交渉する意思を
失っていないと言い切れるか?
あまりに早くお金の話を持ち出すと
眉をひそめられるかもしれないが、
なぜそうするのか、きちんと理由を
説明すれば済むことである。
給与金額に関しては、曖昧な候補者の
回答も、曖昧な面接官としての態度も
許してはならない。