採用担当者は1人では仕事は
できない。社内外の多くの
関係者の協力を得ながらの
仕事になる。
お願いする立場で強くは
言えないが、許されるなら
「そんなんじゃ候補者の厳しい
企業選別の目に耐えられないよ!」
と、採用を失敗させた犯人に突き
付けたい、関係者の言動について
の連載です。
第3回の「犯人」の言動は
「挨拶しない」
です。
建物の中はすべて・・・
「面接は会社の建物に入ってから
出るまで続いている」というのは
常識であるが、それは候補者の
側だけの話ではない。
面接する側にとってもそれは
同じである。
なぜなら、候補者は面接官だけで
なく、社内にいる他の社員を
含めた「全体の雰囲気」を鋭く
観察している。自分がこの場所で
働いていることを想像できるか
どうかということは、企業選びに
とって重要な位置を占める。
候補者を建物内に招き入れたその
瞬間から、面接官は気を抜いては
ならない。建物の中はすべて、
候補者に観察されている。
そういう思いがあるから、面接官を
始めとして人事部の人間はきっちり
とした対応をする。
問題は面接官以外の社員である。
候補者と出くわした時に挨拶を
しないのだ。これが大きく候補者を
落胆させる行為だということが、
なかなか理解してもらえない。
採用担当と一緒に歩いている
ことから、おそらく採用候補者
だろうと判断できる。じゃあ
自分には関係ないや、という
思いがあるからなのだろう。
関係なくない。人材採用はすべての
社員にとって重要な問題である。
違う部署に配属になるとしても
一緒に仕事をすることになるかも
しれないし、将来的には同僚、
部下、あるいは上司になること
だって考えられる。
全員が利害関係者である。
その気持ちがあれば、たとえ
自分は採用活動に関わっては
いなくても、候補者に挨拶を
するだろう。
もっと言えば、そんな打算的な
ことを考えることなどなく、
単純に、知らない人に会っても
挨拶くらいはするものだろう。
挨拶すらできない社員がいる会社だ
ということ自体が、大いに候補者を
落胆させてしまうのである。
面接に入る前から、すでに事は決して
しまっていると言ってもいいだろう。
人材採用担当者の努力は、このような
些細なことで脆くも打ち砕かれるので
ある。
これを避けるには、他の部署の社員で
あろうと関係なく教育することだ。
なかなか浸透しないだろうが、
人材採用はすべての社員にとって
重要な問題なのだということを、
普段から訴え続けるよりほかに
道はない。