採用担当者は1人では仕事は
できない。社内外の多くの
関係者の協力を得ながらの
仕事になる。
お願いする立場で強くは
言えないが、許されるなら
「そんなんじゃ候補者の厳しい
企業選別の目に耐えられないよ!」
と、採用を失敗させた犯人に突き
付けたい、関係者の言動について
の連載です。
第11回の「犯人」の言動は
「マイナス情報を伝えない」
です。
長期戦
採用活動は得てして「近視眼的」に
なりがちである。特に採用担当者には
その傾向が顕著で、ともすれば「採用
することそのもの」が目的にすり
替わってしまうことになる。
なぜそうなるかというと
「何人採用できたか」
「そのためにいくらお金を使ったか」
これらの数字に対する成績が優秀で
あることが、採用担当者としての
優劣の判断にされがちだからである。
まるでノルマを課された営業マンの
ようだが、これが実態である。
だから、ノルマ達成のためには多少
強引なこともする。
そしてその一つが、候補者に伝えれば
入社するかどうかの判断に影響を与えて
しまうであろう「マイナス情報」を
あえて伝えずに入社させてしまうこと。
結果として、早期退職につながるのだから
やってはいけないことなのだが・・・
退職理由は複合的なもので、本人の
「こらえ性のなさ」かもしれないし、
「組織の水に合わなかった」だけ等
つまりは「誰のせいでもない」と
判断されて見逃されていく。
つまり、採用できなかったことの
責任はすべて採用担当者が負わねば
ならないが、早期退職してしまった
ことの責任は採用担当者だけに
負わされることはない。
どちらを選ぶか?言わずもがなである。
言うまでもないことだが、採用活動の
目的は「組織に貢献し価値をもたらして
くれる人材を採用すること」である。
何人採用するか、どれだけコストを
かけずに採用するかということは、
このことに比べれば露ほどの価値もない。
しかし採用担当者にとっては
「採用計画に対しての達成率」
「採用予算に対する消化率」
これらの数字によって評価されて
しまうという現実があることも
また事実だ。
このことにどう折り合いをつけるかが
採用担当者としての力量であり
「職業倫理」なのである。
これを守らなかったことによって、
1人の人間の人生を大きく左右して
しまうことを忘れてはならない。