採用活動で一番痛いのが
「選考辞退」です。
その原因の多くは、候補者の
パーソナリティでもなく、他社
内定等の「外部要因」でもなく、
意外なところにあるものです。
避けられる「辞退」をなくして、
余計なストレスを抱えこまない
採用活動をする方法を連載します。
第5回の「原因」は
「あら捜しをする」
です。
強みに注目せよ
面接が下手くそな面接官ほど
候補者のあら捜しをする。
面接が下手くそだから候補者の
あら捜ししかできない。
鶏が先か卵が先かのようですが、
この傾向は、いずれも真実。
候補者を採用したら上司として
一緒に働くことになる面接官に
特に顕著である。
人事部からの面接官として
横に座って見ていても、
決して気分のいいものではない。
退職理由に納得できないと
徹底的に追及し、失敗経験に
ついてなぜなのかを執拗に
質問するなど、まるで尋問だ。
よく怒り出さないで我慢が
できるなあ、とある意味、
感心してしまうケースすら
あります。
一貫性がなく筋が通らない行動に
ついて追求するのは、容疑者を
前にした警察官だけで充分である。
「そのくらいのこと我慢すれば
いいのに」
「なにかあなたの行動がよく
自分にはわからないんだよね」
という反応をするのは避けるべきだ。
なぜなら、その状況にいた本人に
しかわからない「機微」に触れる
事柄というものがあり、そんなに
簡単にすべてを話すわけには
いかない事情だってあると
いうことだ。
そのことに無遠慮すぎる。
弱みに付け込みすぎなのであって、
そのことをいくら追求し明らかに
したところで、入社した後の仕事や
パフォーマンスとは関係がない。
「人が成果をあげるのは弱みに
よってではなく強みによってである」
という言葉を残したのは
ピーター・ドラッカーだが、その
真逆をいっている。
そんなに候補者を貶めて
どうするのだろうか?
自分より能力が劣っている
人でないと採用したくない
のか?
実際、そうなのである。
強みを持っていて自分よりも
優れている人を採用することは
好まない。自分よりも劣っていて、
自分が指導することで成果を
あげさせることができるぐらいの
人間を好むのである。
「あなたの努力が足りない」だの、
「向いていなんじゃないか」
「もっとやりようがあったんじゃ
ないのか」
という言葉を平気で投げかける
面接官には、いますぐ退室して
もらいたい。
挙句の果てには説教である。
「組織というものはそういうもので、
考えが甘い」
「そんなにひどい状況なのなら
逆に『自分が変えてやろう!』と
いう気概ぐらいなくてどうする?」
とご高説を垂れる始末だ。
それは人事部の私が拝聴するので、
頼むから候補者には言わないでくれ
と何度思ったことか。
強みに注目して採用せよ。
その言葉がむなしく響く。