採用活動で一番痛いのが
「選考辞退」です。
その原因の多くは、候補者の
パーソナリティでもなく、他社
内定等の「外部要因」でもなく、
意外なところにあるものです。
避けられる「辞退」をなくして、
余計なストレスを抱えこまない
採用活動をする方法を連載します。
第6回の「原因」は
「気軽に応じる」
です。
候補者がつけあがる
候補者からの要望に気軽に応じて
いては、あなたの会社は候補者から
足元を見られ、軽んじられ、どうにでも
なるものだと考えられるようになる。
結果、選考辞退の憂き目にあうことに
なるだろう。
候補者の要望の大小は関係ない。
たとえば、いったん決めた面接日時の
変更のような些細なことであろうと、
「職場や工場の見学をさせてほしい」
「先輩社員との、選考に関係ない面談を
設定してほしい」など、実現には調整と
手間がかかるようなことであろうと、
理由を確かめることなく、気軽に
応じてはならない。
よほどの理由がない限り、そして
それが正当なものであり、必要性が
はっきりしていて、ウソが感じられない
場合に限って応じるべきなのである。
特に、気軽に応じてはならないのは、
面接日時の変更である。
お互いにとって時間は貴重なものだ。
お互いにヒマではないだろう。
そんななかで、やり取りを重ねて
決定した日時なのだから、簡単に
変更することができないことぐらい
認識しているはずである。
それでもなお変更を依頼してくる
からには、よほどの理由があって
しかるべきことである。
それを軽く考えるような候補者の
要望には、断固として応じては
ならない。
「急な仕事が入った」
「出張が長引いて」
よく使われる「理由」ではあるが、
簡単に信用してはならない。
他に重要な面接とバッティング
したからではないか?
内定が決まりそうな会社があるから、
とりあえず今は面接を受ける必要が
ないだけではないか?
確かめるには簡単な方法がある。
「こちらにも都合があります。
私だけならまだしも、担当部署の
面接官にも時間を取ってもらって
いるので、変更には応じかねる
というのが当社のルールです。
しかし今回は特別ということで
応じます。ですが、次回もこのような
ことがありました場合は、理由に
関わらず選考辞退にいたします。
それでも面接日時の変更を希望
されますか?」
と聞き返せばよい。
これでも面接日時の変更を依頼
するようなら、見込みは十分だ。
本当にのっぴきならない事情が
あって、他に選択肢がなく、
無理なお願いであるということは
承知しているが、なんとかお願い
できないだろうか、という打診で
あることはほぼ間違いがない。
面接する側の時間の大切さにも
配慮できる人物であるという
ことも確かめることができる。
しかし、このような対応をされた
事に対して
「簡単に応じてくれないなんて意外だ」
という反応だったり、
「こちらにも都合があるのは仕方ない
じゃないか。そんなこと言われる
なんて不愉快だ」
と腹を立て辞退してくるようなら、
それほどあなたの会社への志望度は
高くなく、他に優先したいことがある
という証拠であり、時間の大切さを
理解していない人物である。
次回もまた日時変更を依頼してくる
などした挙句、選考辞退になった
ことだろう。
「少しでも可能性があるなら、
候補者の要望にはできるだけ答えるべきだ。
そこまでやっても選考辞退があるのは
やむをえないこと」
このような考えは、採用活動には
あってはならないことである。
採用担当者の時間は有限であり、
できることは限られている。
その中で優先順位をどうつけていくか
について、選択の余地はそれほどない。