採用活動で一番痛いのが
「選考辞退」です。
その原因の多くは、候補者の
パーソナリティでもなく、他社
内定等の「外部要因」でもなく、
意外なところにあるものです。
避けられる「辞退」をなくして、
余計なストレスを抱えこまない
採用活動をする方法を連載します。
第10回の「原因」は
「クレームを恐れている」
です。
表面をなでるだけ
組織内でのコミュニケーションが
取りにくい時代だ。
職場での飲み会やレクリエーションが
やりにくくなっているのは今に始まった
ことではない。しかし今は、少し強引に
誘いでもしようものなら、セクハラや
パワハラだと訴えられる可能性がある。
それだけはない。
コンプライアンスや働き方改革、LGBT等の
マイノリティへの配慮など、対応すべき
ことが山積みだ。
恐れていてはなにもできない状態に
なりつつある。
採用活動にもその影響は出ている。
当たり障りのない質問ばかりを
繰り返す面接をして、候補者の
本当の姿が見えない。
候補者との連絡のやり取りでも、
やたらとバカ丁寧な「定型文」を
繰り返すようになる。
「圧迫面接だ」
「不誠実な対応だ」
と言われることを避けたいばかりに、
そつのない対応をすることで予防線を
張ることに懸命なのだ。
それはまるで、候補者全員を
クレーマーだという前提で考えて
いるかのようである。
候補者のパーソナリティに応じた
臨機応変の、そして血の通った
対応とは程遠いのである。
それは逆効果にしかならない。
そのような対応をされた候補者は
企業との間に「壁」を感じ、
よそよそしさを感じて、選考辞退
という形で去っていくことになる
からだ。
昔から圧迫面接はあったし、私も
「就活」の時はよく経験した。
2000年前後の就職氷河期世代で
超買い手市場だったということも
あったのだろうが、人格否定すら
伴うような圧迫面接もザラであった。
企業とのやり取りでも、定型文は
あったのかもしれないが、最後の
ところでは担当者の心からの言葉で
対応してもらっていたと思う。
時代が変わったのだと言ってしまえば
それまでであるが、それは言い訳に
過ぎないのではないか。
候補者からのクレームを恐れ、
型通りの、通り一遍の対応しか
しないようであれば、AIでも
十分、その仕事は代用可能だ。
人間がやる必要はない。
一歩踏み込んで、候補者との
真剣なやり取りをするのを避けて
いるようなら、採用担当者として
仕事をしていないも同然である。
クレームが来たからと言って
それがなんだというのだ。
きっちりとした目的と信念が
あるのなら、堂々としていれば
良いのである。