人材採用の「結論の出ない」テーマ Vol.5「経験・スキルと誠実さ」


人材採用は困難な仕事です。

これといった正解もなく

悩みと矛盾を抱えた仕事です。

 

しかし、立ち止まるわけには

いきません。

 

この連載では、難しい問題、

答えがない問題にあえて挑み、

明日の人材採用のために活かせる

「なにか」を提供することを

目指します。

 

第5回の「テーマ」は

「経験・スキルと誠実さ」

です。

 

鍛錬不可能なスキル

 

採用すべきでない人材を採用して

しまえば組織が傾く。その人材は

成果を出し組織に貢献している

場合もあるが、それ以上に周囲に

悪い影響を及ぼすことになる。

組織を内部から腐らせる。

 

その人材とは

「誠実さを欠く人間」

のことである。

 

成果を上げるためならルールを

平気で破り、信頼関係を大切にせず、

人の心の機微を察することができず、

他人や人の感情への配慮に著しく

欠ける人間である。

 

そしてこの「誠実さ」は、あとから

鍛錬で身につけることが不可能な

スキルでもある。生まれ持った

ものであり、教えたり矯正する

こともできない。

 

仕事上で必要なスキルは、入社

させてから研修するなり指導する

なりして、身につけさせることが

可能である。経験がたりないことも

時間が解決してくれる。

 

だが、誠実さは教えることも

できず、時間が経って成長して

いけばおのずと身につくことが

ない。時間が解決する問題ではない。

決定的な欠損なのである。

 

だから、面接時に不足している

スキルや経験があったとしても

それほどの問題にはならないと

私は考える。教えることができる

スキルが足りないだけなら、解決

する方法があるからだ。

 

そしてこの誠実さに欠けるという

人物であるということは、一緒に

仕事をしている周囲の人間は

すぐに気づく。隠すことはできない。

 

いずれ問題が噴出する。組織の統制が

取れなくなり、人材の流出が始まる。

もしそのような動きがないとしたら、

それは表面化していないだけのこと。

事態はもっと深刻で、それは周囲の

人間が諦めているだけのことだ。

 

こんな人間が、人を指導する立場、

マネージャーや経営陣に加わって

いたとしたら、その影響ははかり

知れないことになろう。

 

下にいる人間は、そんな人間に監督され、

指導され、評価されることを嫌う。

我慢ならない。マネージャーが代わらない

のなら、自分から組織を去ることを選ぶ。

それも、優秀な人材であればあるほど、

躊躇なくそのようにする。

 

組織の死が、すぐそばまで来ている。

解決策は、元を絶つよりほかにない。