人材採用は企業・組織内の
他の仕事とは違う論理で
動く必要があります。
そのことに関する連載を通じて
人材採用のあるべき姿、守るべき
「掟」を描きます。
第十条
「良心を基準にする」
です。
迷ったときの良心
採用担当者とてサラリーマンだ。
課されているミッションもあるし、
人事評価によって給料も出世も
左右される。採用活動といっても
営業や経理と同じ、企業・組織に
存在する仕事の一つにすぎない。
しかし、採用担当者に特有の、
守るべき基準がある。それが
「良心に基づいた決断をすべき」
だということである。
その「良心」の具体的内容は、
私があなたに強制すること
ではない。
採用担当者としてのあなたが
自分で考えて決めるべきこと
である。
どんな状況においても守るべき
行動指針でもいいし、職業倫理
でもいい。自分が仕事をしていく
上で、守ることができたら満足
できることにすればいい。
たとえばこんな状況の時に
採用担当者としての「良心」が
試される。
採用するには少し何かが足りないと
あなたが思っているが、明らかに
不採用にすべきだとは言えない
候補者がいて、採用するかどうか
決断が迫られているとしよう。
普段なら、少しでも疑念があれば、
あなたはこのような人物を採用せず
にいるはずなのだが・・・
もし、この状況に加えて、採用担当者
であるあなたに課されたミッション
「必達の採用予定数」にあと一人、
という条件を加えたらどうだろうか?
明らかに採用すべきではない人物では
ないのだから、一人ぐらい構わない
だろう。目標まであと一人なのだ。
来期は、この人材を超える、もっと
いい人材を採用してカバーすればよい。
こう考えて、採用するようなこと
をしてしまわないだろうか?
採用担当者としての良心に照らして、
このような措置を取ったとしたら
あなたは採用担当者失格である。
自分で決めた指針を守っていない
からである。
だれからも責められはしないかも
しれない。あなたがそのように考えて
決断したことは露見しないかも
しれない。
あなたは「疑念がある」と判断しても
結果的にはそんなことはなく、その
採用した人物は活躍し、成果をあげる
かもしれない。
しかし、それは結果論でしかない。
採用担当者として守るべき良心に
基づいて決めたことではないからだ。
今回は何も起こらなかっただけで、
いずれ大きな災厄をもたらすだろう。