人材採用の担当者にとって
もっとも重要なものは
「良心」である。
このことは、長く採用担当を
やってきた経験から断言できる
ことです。
それについて連載します。
第1回
「最初で最後の砦」
です。
人は易きに流れる
「人が最大の資産だ」と言う
経営者、役員等の幹部は多い。
しかし、それを実践している
人は少数派だ。
採用活動に時間もお金もかけず、
働く人の求めるものはお金だと
決めつけ、能力によるのではなく
「使いやすいかどうか」によって
採用を決める。
そんな行為が「人が最大の資産だ」
という経営者のすることとは
どうしても思えない。
景気が悪くなれば、迷うことなく
真っ先に人の首を切る経営者の
姿が透けて見える。
そのような経営者の「言行不一致」
を諫め「人」を最優先した行動を
取ることができるのが採用担当者だ。
ただし、相当の覚悟がいる。
企業を守るために行動する経営者と
ぶつかることになるからだ。
この考えに迎合してしまうのは
簡単であり、もしそうしてしまう
のなら、採用担当者ほど楽な仕事は
ない。
経営者として企業を存続させることを
使命として、余計なコストはかけず、
利益を出すことを最優先に考える
経営者との対決が必要だからだ。
もっと具体的に言おう。
その「対決」の現場では、
「募集にどれだけ応募があったか」
「何人面接し、採用できたか」
「1人採用するのにどれだけ
お金がかかったか」
これらの数字に注目する経営者と、
そのような数字には意味がないと
考える採用担当者との衝突が起こる。
経営上の売り上げや利益といった
「数字」と同じように採用活動を
捉えてしまう経営者との戦いだ、
と端的に表現できる。
採用活動は投資活動
もし採用担当者自身がこれらの
「数字」によって自分の成果を
アピールするようになっては、
企業内にはもはや
「最大の資産である人に対する
投資として採用活動をとらえる」
人は、一人もいなくなる。
お金も時間もかけずに何人採用
できるかという「数字」で
評価されるのだから、質より量に
走ることになるだろう。
取るに足らない人材であろうと
なかろうと、採用してしまえばいい。
採用担当者はそんな短期的な視点に
なりがちになる。
採用活動はお金も時間もかかるし
数字としての成果が見えにくい
活動であるということを理解し、
長期的な視点で考えるべき投資だ。
そのことを前提として経営者と対峙
することができるか?それができるか
どうかは、採用担当者としての
良心にかかっている。