人材採用の担当者にとって
もっとも重要なものは
「良心」である。
このことは、長く採用担当を
やってきた経験から断言できる
ことです。
それについて連載します。
第2回
「相手第一、自分は最後」
です。
何が相手のためになるか
採用担当者とて組織に所属する
人間である。最後は組織の意向に
沿わなければならない。
そのことは前提としても、最後の
ギリギリのところまで、やむなく
組織の決定に従わなければならなく
なるその時まで、あくまで自分の
ことは後回しにできるかどうか。
候補者のために何ができるかを
最後まで考え、そのためになら
多少の無理はすることが、
採用担当者にとって重要なこと
である。
しかし、安易に相手の言うことに
従ったり、妥協することとは
まったく違う。
相手がその要求を出してくる
理由は?
なにかウラが、隠している
真の理由がないだろうか?
その要求を呑むことが、今後の
ことを考えた時に、本当に必要な
ことなのか?
これらのことを見極めたうえで
対応するかどうかを決めることも
非常に重要だ。
例えば、候補者が面接日時の変更を
要求してきたとき。
応じるのは簡単だが、はたして
そうする必要があるのか?
他企業の面接日時が「後から」
かぶってきた、というような
「あるまじき」理由がないだろうか?
候補者にとって、こちらよりもその
企業のほうが重要だということ。
そのような理由だけで、先約を
簡単に反故にする候補者の資質にも
問題がある。応じるべきではない
ことは明白である。
にも関わらず、候補者におもねり
面接日時の変更に応じるのは、
だれのためにもならない。
採用担当者としては、この程度の
理由で面接をなくす決定をするのは
勇気がいる。だが、すでに自社に
対する優先度が低くなっている
候補者に、これ以上の時間をかける
意味があるだろうか?
面接はできるだろうが、明らかに
入社の可能性は低くなっている。
しかも、資質にも問題がある。
そのような人物を採用することに
メリットがあるだろうか?
候補者の今後にとっても良くない。
先約は守るべきであり、もし反故に
したいのなら日時変更を申し出る
のではなく面接を断る。少なくとも
正直に事情を伝える。そうした誠実さ
こそがあるべき姿勢である、という
ことを学ぶことができない。
相手のためといって、実際には
自分のためだったり、あるいは、
だれのためにもならない決定を
してしまっていないだろうか?
目の前の事情にだけ目を向ける
のではなく、今後のことを考えて
物事を決める姿勢があれば、
多くのことは回避できる。
採用担当者にはそれができるし、
求められることなのである。