人材採用の担当者にとって
もっとも重要なものは
「良心」である。
このことは、長く採用担当を
やってきた経験から断言できる
ことです。
それについて連載します。
第4回
「面従腹背」
です。
いつも第三者
採用担当者は、優秀な人材を
採用し、その人材が組織に貢献
してくれることを通じて組織に
貢献する。それが仕事である。
断じて勘違いしてはならないのは、
要員計画通りの数字を埋めるため、
各部門から要望がある数の人材を
採用することが仕事ではない、
ということだ。
要員計画数字があっても、各部門
からの要請があっても、自分が
採用すべきでないと考えた人材は
採用しないことが採用担当者に
必要な態度である。
組織は命令するし、各部門からは
矢の催促が来るだろう。それには
表面上、対応はするが、自らの
方針は曲げない「面従腹背」が
必要なのである。
なぜなら、組織にとって最も
重要な資源である人材を採用
することは、採用担当者に
しかできないことだからだ。
その責任は他のどの部門にも
ないことである。
安易に組織や他の部門からの
要請や圧力に応じれば、成果を
あげて組織に貢献することもない
「取るに足らない」人材を採用
することになり、結果的に組織に
迷惑をかけることになる。
そのような人材を採用するくらい
なら採用しないほうがいいのだ。
その信念を持てば、何を言われようと
採用しないものは採用しないと断固、
言い張ることは難しくない。
そしてその態度は、結果的に
採用担当者をも救うことになる。
どういうことかというと、一度
採用してしまえば、現在の日本の
法律では事実上、解雇はできない
からである。なんとか他の方法で
本人に自主的に組織を去ってもらう
しか方法がない。
そのためには、採用すること
よりも、何倍も時間と労力を
かける必要がある。
そして、その対応をするのは
多くの場合、採用担当者自身
になるであろう。
神経をすり減らし、嫌な思いを
することになるだけである。
採用しなかったことによって発生
するリスクよりも、採用したこと
によって発生するリスクのほうが
常に大きいのだということを
理解しなければならない。
そのことが組織のためになるのだ
という信念をもって「面従腹背」
することが採用担当者の良心
である。