人材採用の担当者にとって
もっとも重要なものは
「良心」である。
このことは、長く採用担当を
やってきた経験から断言できる
ことです。
それについて連載します。
第5回
「訊きたい事百個」
です。
興味津々
面接に呼んでおいて自分に
興味がなさそうな面接官が
目の前に座っていたら、
あなたならどう思うだろうか?
私にも何度か経験がある。
会場に入って数分で、期待が
怒りに変わる。
履歴書・職務経歴書を読んで
興味を持ち、一緒に働けそうだと
思い、訊きたいことがあるから
面接に呼んだのではないのか?
なのになんだ、その態度は?
目線を合わせることもなく、
履歴書・職務経歴書に書かれて
いるので読めばわかることを
繰り返し質問するだけで、
つまらなそうに座っている。
面接を一通り終え、用意していた
質問を終えたあとであれば、その
ような態度になってしまうことは
まだ理解できる。
思ったよりも候補者の回答が
期待外れで内容が薄っぺらく、
履歴書・職務経歴書に書いてある
ことがウソとは言わないまでも
大げさ・誇張が過ぎることが
わかって、一緒には働けない
という判断を下した場合だ。
本人がまだ目の前にいる時に
取るべき態度ではないが、
面接を終えた結果であるから
納得感はある。
だが、面接を始める前から
候補者に興味がない面接官は
理解に苦しむ。なぜその候補者を
面接に呼ぶようなマネをしたの
だろうか?
なぜ私を面接に呼んだのですか?
と、質問の形で痛烈に抗議した
ことさえある。それだけ、相手に
対して失礼なことだということを
理解しないといけない。
これは二重の「罪」を犯している。
まず、候補者の時間をムダにした
ことである。そしてもう一つは
面接官自身の、給料が発生している
業務時間をムダにしたことである。
看過できることではない。
「とりあえず面接に呼んで話を
きいてみようか!」という態度は
絶対にとってはいけない。
自問してほしい。
その候補者に対してぶつけたい
質問が「100個」あるかどうか。
もしそうでないなら、面接をする
のは時間の無駄になる。
数はあくまで目安であるが、
訊きたいことがたくさんあり
興味が惹かれる候補者でない
なら、面接は徒労に終わる。
話を聴いてみれば可能性がある
かもしれないというのは、
たいがいが間違いである。
面接の数が少なく採用ができて
いないことからくる「焦り」が
そうさせているのではないか?
どうしても会って話が訊きたい
候補者だけを面接に呼ぶことは、
採用担当者が守るべきルールで
あり、それを逸脱しないことが
良心と言うものである。