企業や組織が生き残るための
最大の武器は人材である。
そうであるならば、その人材を
採用するために積極的な採用活動を
行うことが最大の生き残り戦略で
あることは明白だ。
この連載は、生き残り戦略として
人材採用を考える場合にやるべき
ことについて、厳選して書く。
第13回
「不可」
です。
お互いの納得
内定者が入社を決めるかどうかの
判断材料を、いかにウソ偽りなく、
そして良心をもって提供できるか。
これが採用の成否を大きく左右する。
この時、もっとも避けるべきことは
「質問されなかったから言わなかった」
という、確かめなかったあなたが悪い
とでも言わんばかりの態度である。
提示する入社条件に書かれる給与や
待遇面の記述以外の、企業組織の
特殊事情、つまりは入社して初めて
わかるたぐいのことは、質問されず
とも伝えるべきなのである。
たとえばどういうことかと
いえば・・・
〇毎朝、社員全員で社訓を大きな声で
唱和しなければならない
〇社内の便所掃除は社員が毎日行う
〇大きな声で怒鳴る人がいて、
しょっちゅう罵声が聞こえてくる
〇喫煙者が多く、においが気になる
これらのことは、気にならない人には
まったくどうということはないこと。
我慢するしない以前の問題であるかも
しれない。
しかし、気になる人には、職場環境
として容認できないことであり、
それこそ「退職」という言葉が脳裏を
よぎるくらいのことなのである。
入社前にわかっていれば入社を見送った
ぐらいの重要事項で
「なぜ言ってくれなかったのか?」
と採用担当者を責めたくなること
なのである。
これらは給与や待遇に比べれば
重要ではなく「細かいこと」に
分類されることなのかもしれない。
採用担当者にとってもそれほど
重要視していないことでもあるだろう。
しかし、なかなか自分一人の力では
変えることの難しいことでもある。
給与や待遇は自分が成果を出せば
変えられる可能性はあるが、長い
時間で培われた環境は変える必要性
すら感じられていないことも多い。
そのまま続いていくことに対しては
「耐性」があるのである。
もし我慢ができないのなら、変えようと
努力することよりも職場を離れるほうが
エネルギーが要らない。多くはその選択を
することだろう。
採用担当者はその点を理解し、質問され
なくとも「入社前に伝えておくべき」
ことを整理しておくことが重要だ。
それが、お互い納得ずくの入社という
良好な関係を生む最短の方法だ。