採用活動とは、一言で言えば
なんであろうか?
この連載では、一見すると
「どういうことだろう?」
というワードをセレクトして
採用活動をさまざまな角度から
考えていきます。
第2回は
「ジェットコースターだ」
です。
急転直下
採用活動においては、たった一言、
ほんの些細な行動が成否を左右する。
それまでは順調に運んでいたことが
あることをきっかけに180度事態が
ひっくり返ります。一瞬たりとも
気を抜いてはいけません。
働く側にとっては、どの会社・組織に
所属するかということは人生を左右
する重大事ですが、雇う側にとっても
それは同じです。
現在の法律上、実質的に解雇は不可能な
状態にあるという点をさしおいても、
「雇ってはいけない人」を一人でも
入社させてしまうことのリスクは大きい。
不当な扱いを受けた、正当に評価されて
いないなど、不満を募らせた挙句に
SNS等を使って個人でも攻撃を加える
行動に出ることに注意を払うことを
言っているのではない。
「雇ってはいけない人」は、誠実さに
欠け、周囲にネガティブなことを言い、
日常的に不満をぶちまけることによって
チームのパフォーマンスを低下させて
しまう。一緒に働くメンバーに悪影響を
与えてしまい、それが拡散、やがては
組織全体に蔓延するだろう。
その変化は、まさにジェットコースター
のように、頂点に達したら最後、あとは
急速落下するかのごとく事態が悪化する
ことになる。
私も過去にそのような、一人の人間が
組織に加わったことで、事態が悪化
した経験を何度もしています。
同族会社にありがちなことですが
「創業一族に生まれただけ」でしか
ないのに、高い地位に就いた人間。
上司や同僚の悪口を、自分の能力の
なさは棚に上げて、あることないこと
周囲に吹き込んでいた人間。
それまでさんざん世話になった人に
対して、出世のために簡単に不義理を
行って平気な顔をしている人間。
思い返してみても枚挙にいとまがない。
その人たちがまき散らす悪影響のせいで
組織の雰囲気が悪くなり、心ある優秀な
人材が何人も組織を去っていった。
中には、私は採用には反対したが
現場の声に押し切られ採用して
しまったケースもありました。
「採用してはいけない人」だという
ことが私にはわかっていた。なのに
防ぐことができなかった。今でも
悔やんでいます。
採用は、その前と後で事態が大きく
動く重大事です。慎重になりすぎる
ことはありません。組織が生き残るか
どうかの瀬戸際だといっても過言
ではない。
時間もお金もかけてほしい。
その価値は十分にある。