採用活動とは、一言で言えば
なんであろうか?
この連載では、一見すると
「どういうことだろう?」
というワードをセレクトして
採用活動をさまざまな角度から
考えていきます。
第12回は
「人間力が問われる場だ」
です。
神は細部に宿る
採用活動は、採用担当者の全人格が
問われる場である。しかもそれは、
細かい部分にこそ現れるもの。
目ざとい候補者なら、その部分を
見て判断を下す。神は細部に宿る
ことを知っているからである。
候補者とのメールのやり取り、
電話での会話、面接での質問など、
それなりに力点がこめられている
ところには、採用担当者の人格は
現れにくい。
なぜなら、これらにはマニュアルが
あることが多いからである。
それに従っていれば、大きな違いは
出てこないので、この点で評価する
ことは避けたほうが良い。
訓練すればだれにでもできることで、
気持ちがこもっていようといまいと、
表面上どうとでもなることでだから
である。
面接前日のリマインドメールや、
面接後のお礼メールがあるかどうか
なども判断材料にはならない。
採用担当者が気配りのできる人だから
なのではなく、システムで自動的に
送信されており、文面にも定型文が
あるからだ。
注目すべきなのは、面接当日の
出迎えや見送り時の所作、候補者が
提出した書類の取り扱い方、室内の
温度調節やトイレの場所の案内と
いった気配りなどのことである。
これらは、訓練することによってできる
ようになる種類のことではない。
採用担当者の、長年にわたって培われた
人格によるところが大きいことである。
この上に、さらに候補者を尊重し敬う
気持ちがないとできないことだ。
笑顔を絶やさず言葉遣いが丁寧でも、
細かく注意してみれば、候補者に
対して何の感情もなく、ただの
労働として採用の仕事をしている
のかどうかは見ればわかるものだ。
そのことを見分けるための
マニュアルはない。なぜなら、その
行動や態度はマニュアルによって
動いていない人間の根本のところ
だからである。目を養うしかない。