2019年4月1日に入管法の改正が
行われる予定です。
事実上、移民を認めるものだと
言われるこの法律で近い将来、
日本の姿が劇的に変わるかも
知れない重要法案です。
この連載では主に、日本人が
人材採用と働き方の点で対応を
迫られ、求められることになる
「能力」について書いていきます。
第1回は
「移動する能力」
です。
熾烈な戦いのゴングが鳴る
入管法の改正は深刻化する人手不足を
解消するために「背に腹は代えられない」
という状況の下で行われた側面が強い。
いわば最後のカードが切られたのだ。
日本は良くも悪くも、島国であり他国と
国境を接することもなく、幸いなことに
ほぼ単一の民族と、ほぼ単一の文化を
自然と共有する「日本人」よって
構成されてきた。
つまり、異なる民族と文化を持つ
人々と日常的に接する機会は
少なく、移民を大規模に受け入れた
こともない。それが今回の入管法
改正によって劇的な変化にさらされる
ことになる。
受け入れる移民に用意される仕事は、
大部分が肉体労働や単純作業になる
見込みだ。日本で人手不足になっている
仕事はその種の仕事であるからだ。
まずは現状で、それらの仕事に従事して
いる日本人にとっては、その仕事から
移動する必要に迫られる可能性がある。
それもすぐに。
それだけではない。受け入れる移民が
いつまでもそれらの仕事に従事して
満足しているかどうかはわからない。
自分の仕事が、いつ移民との競争に
さらされることになるか、誰にも
想像はつかない。
人は成長する。変化は一度起これば
連鎖反応を起こす。その方向は予測
することはできない。
テクノロジーやAI(人工知能)に
よって仕事が奪われるかもしれない
という議論が沸き上がった2018年
であったが、2019年はその対象が
移民となっているかもしれない。
現在の世界では、単一の民族だけで
構成されている国家はあり得ない。
そんな状況でも日本は、これまでは
多民族国家ではなかった。しかし、
その状況は変わっていく。
新しい「日本人」が急激に数を
増やして入ってくれば、その分だけ
どこかに押しやられてしまう人が
出てくる。それが自分でないと、
誰が言えるであろうか。