人材採用で重要なことは、
やるべきことをやることではない。
やってはいけないことをやらない
ことなのです。
この連載では、人材採用でやっては
いけないことを「べからず集」として
書いていきます。
第3回は
「ウラを読むべからず」
です。
ウソをついても得はない
採用面接において、候補者はウソを
つくものである。決して本当のこと
だけを話しているのではない。
ウソにも故意のものと無意識の
ものと二種類あるが、どちらで
あっても大差はない。
いずれにしても、人材採用担当と
して心得ておくべきことは
「候補者の発言の真意を測ることに
それほど意味はない」ということだ。
面接で候補者が話すことは、額面通り
ウラを読むことなく受け取ればいい。
たとえウソばかりだったとしても、
そんなことをして入社して困る
のは候補者本人だ。
日本の大学受験のように、採用試験を
どんな形でも、たとえまぐれでも合格
することを目指しても意味はない。
日本の大学なら、いったん入学して
しまえば、卒業するくらいならば
さほど難しくないが、採用面接は
欧米の大学型である。問題は入った
あとなのだ。
つまり、入社すること自体には
それほど意味はない。入社した
後にどれだけ成果をあげることが
できるかが、厳しく問われる時代
だからである。
いくつもの難しいハードルを日々、
こなさなければならない。その力が
あることを示すことこそが重要なの
であって、偽装することではない。
そのような姑息な根性こそが、
仕事が出来ない理由だということに
気付くべきである。
そのうえでウソをつくというのなら、
とことんつけばいい。だが、それは
ブーメランのように本人に返って
くるのであり、その責任は本人が
取ることになるのである。
行きつく先にはリストラが待って
いるだけだ。
採用担当者がすべきことは、
できるだけ本当のことを候補者に
話してもらうような環境を作る
ことである。そのための仕事に、
候補者の発言を疑い、ウラを読む
という行為は含まれていない。
要求されるのは、むしろ逆の態度
であろう。候補者を信じること。
信頼関係をこちらから構築する
努力である。