人材採用で重要なことは、
やるべきことをやることではない。
やってはいけないことをやらない
ことなのです。
この連載では、人材採用でやっては
いけないことを「べからず集」として
書いていきます。
第4回は
「法律を持ちだすべからず」
です。
人間と人間のぶつかり合い
人材採用担当に限らず、総務や経理の
ようないわゆる組織の「管理部門」に
属する部署は、多かれ少なかれ、
法律に縛られた仕事をせざるを得ない。
法律だから、担当者個人の想いとしては
そうしたくなくても、破ることはできない。
そうすると画一的な対応、いわゆる
「お役所仕事」と受け止められてしまう
ことも多い。
だからといって「法律で決まっている
のだから仕方がないじゃないか!」
と開き直った態度を取るのは二流だ。
その言葉はぐっと呑み込まなければ
ならない。
法律を持ち出すのは最後の手段と
心得ておくべきである。
そうすれば相手も引き下がらざるを
得ないから、好まざる相手を追い払う
のには効果的だ。だが、人間関係や
信頼関係が重要な場面では使うべき
ではない。
人材採用においては、候補者との
信頼関係が何よりも重要だ。
採用担当者との信頼関係があるから
入社を決めることはないが、採用
担当者との信頼関係がなければ
入社に至ることはない。
候補者は現時点ではあなたの組織とは
なんの関係もないのだから、その間を
つなぐのは信頼関係しかない。
そのつながりは非常に脆弱なもので
人間と人間としてぶつかり合うこと
でしか維持できない、という自覚が
必要である。
その脆弱なつながりを、一瞬で断ち
切ってしまうのが「法律」であり、
そうでないなら「社内の決まり」や
「規則」の類を持ち出すことである。
理由はそうだとしても、そのことを
持ち出して話をしてしまえば、その
瞬間から候補者と人間と人間として
向き合うことを拒否したと受け止め
られても仕方がない。
言葉にはしなくても「決まりなんだから
仕方がないじゃないか」という態度が
見えて、候補者はシラケてしまう。
あなたは当社の採用候補者として
重要ではない、特別ではないのだ、
というメッセージを送ったのと
同じである。
法律や決まりを持ち出して話を
するときは「最後通牒」を突き付ける
ときだと心得ておくべきである。