人材採用で重要なことは、
やるべきことをやることではない。
やってはいけないことをやらない
ことなのです。
この連載では、人材採用でやっては
いけないことを「べからず集」として
書いていきます。
第8回は
「ボーっとするべからず」
です。
一見すると同じ
注意深く見れば違いがわかることでも、
表面的にはまったく同じ状態に見える
ことがある。それが、採用活動では
特に多く起こっている。
どういうことかというと、採用担当者が
工夫に工夫を凝らして採用活動を行った
結果採用できた場合と、なにもしていない
のにたまたま採用できてしまった場合が
同じに見えてしまうということ。
この二つは大きく違うのだが、一人採用
できたという意味では変わらない。
周囲からの評価も、見る人が見ている
のでなければ違いが理解されない。
気付かれない。
採用活動は、採用担当者が血のにじむ
ような努力をしても何も結果が出ない
ことがある一方で、何もしていない
にも拘わらずトントン拍子に採用が
決まるということもある。
採用担当者の力量とはあまり関係の
ないところで、非常に極端な結果が
出やすい仕事である。
このことを実感している採用担当者は
「なにもしないでおこう」という誘惑に
強くひかれている。思考停止に陥り、
ボーっとしている採用担当者も多い
のである。
その誘惑が特に強くなるのが、
採用担当者にとっては不幸な状況
なのであるが、採用活動の評価が
「採用人数」と「使った予算」
によってなされている場合である。
このような評価指標によって採用
担当者が評価されるとなると、
莫大な予算を使って採用できない
事態に陥ったり、逆のケースで、
予算を使わないことによって
採用もできなかった、という状況に
なることを恐れてしまう。
結果として現状維持、特に変わった
ことはせず、なにもしないことが
最善の選択だと考えてしまう。
採用活動は数字に表れないところでの
努力が、長い時間をかけて実を結ぶ
ことが多い仕事である。その点を斟酌
することなく、採用人数や使った予算で
評価するのではやる気を削ぐことになる。
しかし、そのような状況にあることに
落胆し、努力を止め「ボーっと」している
採用担当者がいるとしたら、重大な職場放棄
である。職業的な良心として、自分の評価を
気にすることなく、使命感を持って、やる
べきことはやるのだという気概が、採用
担当者には必要だ。
採用は企業・組織の根幹をなす重大な
仕事である。自分の働きが、長い目で
見れば企業・組織の命運を左右する
のだという自覚を持って仕事をする
ことが重要である。その気概がない
のであれば、いますぐ、採用担当者を
辞するべきである。