人材採用で重要なことは、
やるべきことをやることではない。
やってはいけないことをやらない
ことなのです。
この連載では、人材採用でやっては
いけないことを「べからず集」として
書いていきます。
第12回は
「軽んじるべからず」
です。
最重要顧客として
採用活動において99%の応募者は
採用されることはない。つまり、
「あなたを採用することはできません」
と、99%の人に断りを入れることが
採用担当者の仕事である。
これにはある条件が付く。
つまり
「機嫌を損ねることなく」
「自尊心を傷つけることなく」
うまく断ることだ。
1人1人の応募者に対して、あたかも
最重要顧客に対応するかのように
丁寧な対応が求められるのであるが、
多くの採用担当者はこの重要性に
気付いておらず、大部分で失敗
している。
採用担当者のこの失敗の重要性を
正確に認識している企業・組織も
また非常に少ないのが現状で、
大きな「しっぺ返し」を食らい、
損失を被っていることに気付いて
いない。
まずやってはならないのは
「お祈りメール」だ。
このお祈りメールの評判が良くない。
が、ほとんどの企業・組織で、この
ような対応をしているのではない
だろうか。
どこかから拾ってきた定型文丸出しの
無味乾燥な文面が続き、不採用になった
理由は一切明かされることなく最後に
「貴殿の今後の益々のご発展をお祈り
いたします」で締めくくられる
ためにこのような名前がついた。
もらった方は、なぜ不採用になったか
理由もわからないので、今後に
活かすことがなにも見いだせない。
なんの役にも立たない。
立つとすれば腹が立つぐらいの
モノである。
このような態度が取れるのは、
もはや今後、何の関係もなくなる
「過去の人」として候補者を見て
いるからだ。最重要顧客として
見ているのなら、今後の関係の
維持のために丁寧なフォローを
するはずであるが、これでは
金輪際、関係構築は不可能に
なってしまうだろう。
不採用通知に、不採用になった
理由を一言添えるぐらいのことは、
手間さえ惜しまなければできる
ことである。余計な仕事だと
思ってはならない。
袖振り合うも他生の縁と言う。
いったん、人材募集に応募して
きてもらったということを
「他生の縁」と解釈し、その縁を
大切にすることこそ、人材という
最も重要な資産を大切にし、活用
するための出発点である。