人材採用で重要なことは、
やるべきことをやることではない。
やってはいけないことをやらない
ことなのです。
この連載では、人材採用でやっては
いけないことを「べからず集」として
書いていきます。
第13回は
「下げるべからず」
です。
勇気ある現状維持
採用活動は我慢の連続だ。
応募がないこともあるし、
面接をドタキャンされることも
珍しくない。
面接ができても、候補者が思いのほか
能力が低くてがっかりすることもある。
なんとか内定出しにこぎつけても、
内定辞退されることもしょっちゅうだ。
そんないろいろの苦難にあうと、
応募のためのハードルや採用基準、
内定を出す基準など、当初考えて
いた線を下げたくなってしまう。
しかし、断固として下げては
ならない。一度下げれば、値下げ
と同じで一度は効果があるが、
2度目からは何の効果もなくなる。
禁断の果実である。
果てしない値下げ競争に巻き込まれ、
勝者のいない泥仕合になるだけだ。
アパレルショップのバーゲンや
タイムセールが当たり前になり、
反応する人が少なくなるのと同じだ。
応募に履歴書・職務経歴書を必要
なくしたり、未経験者を歓迎したり
することに始まり、やがては高給、
休み多い、転勤なし・・・と
キリがなくなる。
さらに悪いことに、そんな「うまみ」
につられてやってくる人を集めても、
もっとうまみのあるところが出て
くれば、簡単に奪われてしまう。
そんな人材を集めることが、本当に
あなたの望んだことなのだろうか?
そんな人材であったとしてもいい、
一時的にであっても採用できれば
それでいいというなら別だが、
そんなことはないだろう。
であるならば、当初掲げた基準を
下げてはならない。確かに苦しい。
しかし、歯を食いしばって耐える
覚悟がなくては採用担当は務まらない。