人材難の現在、若くて実績もあり
即戦力になる、誰から見ても
「優秀な」人材を採用することは
困難です。
そんな「見た目」に惑わされず、
今はさほどではなくても、これからの
成長が見込める「掘り出し物」採用を
する方法をお伝えします。
第6回は
「機微がわかる人」
です。
サービス業が難しいのは
共感力が不足していて他人の気持ちに
なって考えることのできない人は、
思いのほか多い。
人の心の「機微」というものが理解
できない人や企業は、今は良くても
必ず衰退する。
採用面接でも、注意深く観察して
いれば機微がわかる人がどうか
判断できる。
いや、判断しなければならない。
採用面接で本当に確かめるべき
なのは、経験やスキルではなく、
このような心の機微がわかる人か
どうかなのである。
なぜなら、人の心の機微が理解
できることは、マニュアルを作って
研修でいくら教えても、鍛えること
ができないからだ。
誤解を恐れずに言えば、持って生まれた
性格であり「性根」なのである。
サービス業が難しいのはこの点だ。
どんなにマニュアルがしっかりしていて
研修制度が優れていても、肝心な人間の
ほうがそれを受け止めるだけの
「機微の基礎体力」がないことには
素晴らしいサービスを提供できる
ようにはならない。せいぜいできる
とすれば、お客様に不快な思いを
させないことぐらいなのだ。
ではこの「心の機微」がわかる人か
どうかを判断するにはどうすれば
いいのかであるが、それは
「去り際」をきっちりと観察する
ことである。
具体的には、面接が一通り終わって
退室するまでの間の行動である。
そこにこそ、候補者の本当の姿が
垣間見える。
たとえばこんなことがあった。
冬だったのでコートを着てきた
候補者は、なんと、面接終了後に
コートを羽織ってからすべての
ボタンをしっかり留め終わるまで、
我々面接官を立たせたまま、
待たせたのである。しかも、
お待たせしましたの一言もなく。
待たせたことをなんとも思って
いなかった。この候補者は
もちろん不採用にした。
まだ面接官の我々も退室する準備が
出来ていないのならコートを着る
動作をしていてもよかった。
しかしこちらはとっくに資料を手に
持ち、いつでも退室できる状態に
あったのだ。そのことに気付けば、
コートは手にもったままともかく
辞去し、あとからゆっくり着れば
よいだけのこと。
なぜ身支度を整えるのを待たなければ
ならないのか?時間にすれば一分も
ないことであるが、時間は関係ない。
相手を自分の都合で、しかも今やる
必要のないことで待たせてなんとも
思わないのでは、人の心の機微を
理解するのは不可能であろう。
決定的ななにかが欠けている。
人の心の機微を理解できるかどうか。
共感力や気遣いができると言い換え
てもいいが、それは教えたりできないし、
マニュアルではカバーできない。
根本のところである。それをしっかり
面接で確認することが重要である。