反逆し続けた働き方 Vol.10「反対意見は言うな」


反対意見は「思いつき易く言い難し」である。

特にあなたが若手社員だったり、転職して

まだ日が浅いのならば、反対意見を口に

することは厳に慎まなければならない。

 

誰からも反対意見が出ないのが最も危険な

状態なのだが、多くの組織はそのことを

軽視している。出ないことを善しとする。

反対意見を嫌う。口にした人間を憎み

さえして、排除しようとする。

 

人間はそれぞれ考え方が違うのだから、

ほとんどの場合、だれかが反対意見を

持っているものである。それが誰の

口からも出ないことは深刻なことだ。

 

かの有名な経営学者、ピータードラッカーも、

アメリカの自動車メーカー・GMの伝説的経営者

アルフレッド・スローンのケースを引き合いに

だして、反対意見がないことに警鐘を鳴らす。

 

スローンは、役員会で自分の意見に反対意見が

なかった時に

 

「皆さんの、この件に関する理解と考えがまだ

深まっていないようなので、この件は後日

改めて議論したい」

 

といって、結論を出さず役員会を終了させた

という。

 

後日行われた役員会では、その件について

喧々諤々の活発な議論が行われ、先日に

出ていたよりもはるかに素晴らしい結論に

至ったという。

 

反対意見が出ることを重視し、それによって

弁証法的に、否定を乗り越えてさらに良い

結論を得るためのプロセスとして歓迎する

ことが重要である。

 

しかし、私は何度か、反対意見を言ったことで

失敗した。反対意見が陳腐なものだったから

なのかもしれない。私が新入りだったからかも

しれないし、若輩者であったからなのかも

しれない。

 

しかし、反対意見がどんな内容なのか、

誰の口から出ているかは重要ではない。

反対意見が出ること自体が重要なこと

なのである。

 

冒頭にも書いたように、反対意見を口に

するのは難しいものなのだ。勇気が必要だし、

非難される危険もある。若手や新入りであれば

なおさらである。

それでも反対意見を口にする社員がいることを

喜ばなければならない。

 

もしその社員が口を閉ざしたら、それは納得

したということではない。組織を見限り、

そのまま黙って組織を去っていってしまう

兆候なのである。

 


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