私は幸いなことに、部下をもって仕事をする
機会に恵まれることができた。そのおかげで
「誰と一緒に働くか」がどれだけ重要なことで
あるかを、多角的に視点から見ることでより
深く知ることができた。
一般的に、部下は選ぶことはできるが
上司は選ぶことができない。どんな上司の
下で働くかは大きな運命の分かれ道だが、
それは運任せでしかない。
サラリーパーソンである以上、人事上の
命令には服さねばならないからだ。
ほとんどの場合は受け入れざるを得ず、
どんなに不当なものであっても、組織に
人事命令を撤回させることは容易ではない。
いやなら辞めるしかないのが実情だろう。
人事権は組織が握っていないと組織がたち
ゆかない。それは上司と部下がソリが
合わない場合、異動になるのは常に部下の
ほうであることに表れている。
組織は上の味方であり、人事権を上司に与える。
部下を異動させ、新規採用し、あるいは退職に
追い込むことで、どんなチームを作って仕事を
するかを決定させる。その裏返しで、それで
成果をあげることができなかった場合に首を
切られるのは上司だ。部下は、また違う上司の
もとで働く機会を得る。
私の場合は部下選びに失敗した。それは、
どんなチームを作るかは上司である自分が
決定すべきであるという原則を曲げてしまった
ことが原因だ。チームメンバー選びが即、自分の
首につながっているという認識が甘かったのである。
成果をあげるために必要な人材をしっかり定義し、
それに合う人材を獲得し、一方で、成果に結び
付かない部下を切る。
上司である私がそれを怠った場合に、そのツケが
容赦なく自分に返ってくるという認識が甘かった。
もっと冷徹になるべきであった。
上司ではなくても、チームに後輩を持つ立場に
ある人も要注意だ。チームメンバーを誰にするか、
採用活動にかかわるなどによって選択する場に
参加する機会があるのであれば、ぜひとも自分の
利害に直結することであるという認識を強く持つ
べきである。
だれが自分の隣に座り、一緒に仕事をしていく
ことになるか。目を光らせておかねばならない。
座る前の段階であればまだ拒否することも
できるが、いったん座ってしまったのを
「どかせる」のは容易ではない。下手に
手を出せば「どく」ことになるのはあなたの
ほうかもしれない。