誰にでもある本当に大切な「働くこと」 Vol.20「所与の条件」


与えられた条件のなかで、それを最大限に

活用する方法を考えることが、働く人に

とっての「実力」である。

予算不足や周囲の無理解といった状況を

嘆き、結果が出せないのはそのせいだと

嘆いているだけでは何も変わらない。

 

上司や同僚との人間関係がうまくいかない

ことが、働く人の常なる悩みである。

自分が働く企業・組織を選ぶことはできる。

しかし、入ってからどんな環境で、どんな人と

働くことになるかまで、詳しく、事前に知る

ことは難しいからである。

 

上司になる人や同じ部署の人とは、面接で

顔を合わせることができるので、波長が

あうかどうかは判断できる。

だが、一緒に働く人はそれだけではない。

他部署や取引先の人など、何十倍もの

人数とかかわることになる。その人間関係を

事前に知ることは不可能だ

 

加えて、企業・組織には独特の文化がある。

文書化されていることもなく、人の口から

語られることも少ないが確実に存在する。

入ってから初めて身をもって実感することに

なる「文化」はどんな企業・組織にも必ず

存在する。

 

それは強力な「所与の条件」である。

個人の力で変えることは不可能だ。

それを前提として、うまく付き合うしか

方法はない。何か行動を起こす時には、

その条件の下で、それとぶつからないような

方法をとらなければならない。

 

たとえば企画を提案するときに、

文書にして提案するのがいいのか

口頭で提案するほうがいいのか。

お金はかかっても新しいことをやる

ことが歓迎されるのか、それとも

今までの方法を改善することになら

お金をかけるのか。

 

手持ちの駒を、どういう形で、いつ

使えば最大限に活かすことができるか。

そのことに心を砕く出来である。

 

企業・組織の文化に対する見極めを誤れば、

それがどんなに企業・組織にとって良いことで

あっても、受け入れられず却下される。

「上は何もわかっていない」と吐き捨てるのは

結構だが、それで何かが変わるわけではない。

所与の条件に反する方法では上手くいくわけが

ない、ということをわかっていないのは、

あなたのほうである。

 

確かになかなか受け入れがたいことではある。

自分は間違っていないのに。

悪いのはそんな「バカバカしい」判断をする

企業・組織のほうだ。

そう考えたくなる気持ちもわかる。

 

だが、そんな「所与の条件」を受け入れた

うえで行動しなければならない、という

ことを理解できないのでは、これから先、

働いていくのは窮屈であろう。

いやなら、組織を飛び出すしかない。