「神は細部に宿る」と言う。
この細部を観察によって見出す
ことができる能力が重要である。
取るに足らない人材と優秀な人材、
見るべきものがない凡庸な仕事と
だれにでもできるものではない非凡な
仕事との間の差が、明らかにわかるもの
であることは、意外と少ない。
一流と二流は、よく観察しないと
わからない、この「細部の違い」
によって見分けなければならない。
「一流に見える二流」と
「二流に見える一流」を
見分けるために、細部の違いを
よく観察する必要があるということだ。
二流の人間は一流の人間を装うために
細部のことに小賢しい細工をする。
面接のときは不利なことやミスを隠し、
経歴やスキルにお化粧を施す。
仕事では、自分がやりやすい方法で仕事を
することを優先し、自分の仕事は誰の役に
立つべきなのかについて考えることが
できない。
人間関係ではトラブルを抱えることが
少ないが、それは表面的には愛想がよくて
ソツがなく、本心を見せないからであり
チームメンバーとしての意識が希薄だからだ。
力を持っている人を見極める嗅覚に優れ、
媚びへつらうことに抵抗がないが、
勢力図の変化に敏感で、変わり身も早い。
いざというときに頼りにならない人間である。
一方、一流の人間は二流の人間には気づかない
細部に気を配ることができ、つまらない嘘は
つかず、自分のミスは率直に謝罪する。
自分が貢献すべき事柄を理解し、そのために
何が必要か、自分の仕事がどうあるべきかを
考え、実行することができる。
率直であり、自らの価値観に自信を持ち、
信念に基づいて行動するため上司を含めて
人間関係のトラブルを抱えやすいが、それは
チームとしてのパフォーマンスを重視するから
であり、チームのためであれば犠牲になることも
いとわない。
これらの違いは文章にすると明らかだが、
実際の現場では違いが見えにくいものだ。
結果的には同じ行動をとっている場合でも、
どのような考えかたに基づいて行われたことか
までを見極めるのは難しい。
見分けるには観察をするしかない。
誰の目にも違いが明らかなのは
「超一流」の人たちである。
他とは圧倒的な力の差があるため、
誰にでもそれとわかるのであり、
慎重な観察は必要ない。だが
きわめて少数であり、そんな人と
出会う日を待っているわけには
いかないのである。
それにひきかえ、
「一流に見える二流」と
「二流に見える一流」は
頻繁に登場する。それだけに見極めには
慎重になりたいものだ。