誰にでもある本当に大切な「働くこと」 Vol.27「ニセモノだらけ」


「パレートの法則」というものをご存じだろうか。

80対20の法則ともいわれ、世の中の多くのことは

「2割の原因」が「8割の結果」を発生させて

いるという経験則だ。

 

有名なところでは、働きアリの集団に見られる

法則にあてはまるといい、エサの8割は2割の

働きアリによって集められている、などの

観察結果がある。

 

人間界にもこの法則が当てはまる事例は

数多く報告されている。たとえば

 

「企業・組織の売り上げや利益の8割は、

2割の商品や社員が稼いでいる」

「発生するミスの8割は、2割の工程や

特定の人間が起こしている」

「仕事の成果のうち8割は、かけた時間の

2割によって達成される」

 

私の人事部での経験からいっても、

トラブルやクレームの8割は特定の

2割の人間によってなされていたし、

人事評価においても上位20%とそうでない

80%に自然とわかれていったものだ。

 

この法則によれば、8割の仕事はホンモノでは

なくてニセモノ、なくてもいい仕事であり、

本当に必要なのは2割の仕事だけだ、という

ことになる。仕事ができるのも全他の2割の

社員だけだということだ。それならば、この

2つを適切に組み合わせ、2割の仕事に仕事の

できる2割の社員を充てることも可能なのでは

ないか?

 

ところが不思議なことに、そうはならない。

働きアリの観察結果によると、特に働いている

2割の優秀なアリだけを取り出すと、これがまた

80対20に分かれてしまう。つまり、引き続き

働くアリは20%しかおらず、残りの80%は

働かなくなってしまうのである。

 

さらに不思議なことに、これは逆も成り立つ。

つまり、働いている2割を取り出してしまえば

あとは「残りカス」だからどうしようもないはず。

なのであるが、残った8割においてもまた、働き

だして成果をあげる2割と働かない8割にわかれて

いってしまうのだ。

 

つまり、優秀で成果をあげる2割が存在する

ためには、優秀ではなく成果もあげない

8割が必要なのだ、ということである。

8割の一見すると必要とは思えない仕事に

ついてもこのことは成り立つのではないか。

 

これと逆のことをやっていたのが、かつて

GE(ジェネラル・エレクトリック)の

CEOを20年務めた伝説的経営者といわれる

ジャック・ウェルチである。彼は、優秀でない

人を切れば、優秀な人だけが残って会社が

強くなると考えたのだろう。人事評価の下位に

位置する10%~20%の人材を、一律に

配置転換や退職勧告するという仕打ちを

していたと言われる。

 

そもそも評価は絶対的なものではなく相対的な

ものである。どんな成果をあげることを評価

するかということ、つまり設定する基準に

よって評価は大きく変わってしまう。

数字に表れない貢献もあるし、長期的な視点に

立った取り組みをしていれば短期的な評価は

そもそもそぐわない。

さらにいえば、気に入らない人間をむりやり

下位20%に押し込み、組織から追い出そうと

企むような不貞の輩も出てくるだろう。

 

そうなれば組織は腐敗する。この制度は

人間の心の機微にあまりにも無頓着な

愚策でしかないだろう。組織においては、

人の行動や結果ではなく、心を扱うことに

力を尽くすべきである。

 

人材を大切にしない文化が根付いてしまった

せいであろうか。いまGEはかつての栄光を

失って凋落してしまい、昨年6月にはNYダウ

を構成する30銘柄からも外れた。

 

成果をあげることには貢献しないニセモノの

仕事、ニセモノの社員も多くいるが、それを

まるで邪険に扱うと大きなしっぺ返しをくらう

ということのよい事例なのではないか。


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