働きたくなる職場とは Vol.2「まるで学校」


ある調査によると、新卒社員の7割が

将来の転職を前提としているという。

つまり、最初の就職先はあくまで

「お試し」感覚であると言っても

差支えないのではないだろうか。

 

最初の就職はお試し感覚でも、私は

一向にかまわないと思う。むしろ、そう

考えたほうが合理的であるとさえいえる。

 

なぜなら、学生と社会人との間には、高校から

大学などへ進学するのとは明らかに違う、

大きな飛躍があるからだ。それに、社会人に

なるということはアルバイトで働くこととの

間にも大きな隔たりがある。

 

つまり、社会に出て働いた経験のない人が、

適切に自分の適性を判断し、それに合う企業を

選択できる可能性はかなり低いと言える。

一度やってみて、合わない、何か違うと思ったら

転職するのは大いに結構なことである。

 

「短期間で退職するのは堪え性のないことで、

困ったことだ」という意見は、この事実の前には

もはや、むなしいだけだ。

将来的に辞めない人、長く働いてくれる人を

求めて、辞めないように工夫をすることが

重要だという発想から、根本的に見直す必要が

あるのではないか。

 

それに加えて言えば、若い人が短期間で退職、

つまり「3年で3割が退職する」というのは

ここ30年、変わらない傾向である。

これほど長い期間、有効な手を打つことが

できていないのであるから、もはや手はないと

考えるべきだ。

 

むしろ、企業・組織は、短期間で人が退職すると

しても、在職中にはおおいに貢献をしてもらえる

仕組みを作り、その見返りに、働く人に何を提供

することができるのか」という視点で組織を

構築していくことが重要である。

 

一言でいえば、元社員が社会で活躍できる

経験やスキルを提供できる「学校」のような

機能を提供できるか、ということである。

 

元社員が活躍すれば、自然と評判があがり、

それを聞きつけた優秀な人が集まってくる。

そしてその人たちが何年かして「卒業」して

また活躍すれば、さらに評判があがる。

好循環である。人材に困ることはなくなる

であろう。

 

そもそも、企業・組織は社会に貢献するために

存在している。その使命は、社会の役に立つ

商品やサービスを提供することだけで果たす

ことはできない。社会にとって必要な人材を

輩出することも重要な使命のはずである。

 

だが、これまでは社員を犠牲にしてでも

お客様のためにいい商品、いいサービスを

提供することが企業・組織の使命だという

ことに傾きすぎていた。それが見直さないと

いけないということから「働き方改革」が

出てきたのだろう。

 

だが、働く人の負担を軽減するという

発想だけでは不十分だ。働く人が他の

企業・組織でもやっていけるような

経験則・スキルを磨ける環境を提供する

「学ぶ場」として、学校のような機能を

いかに果たせるか、という発想を持つ

べきだ。

 

これからの時代、社会で活躍する人材を

どれだけ輩出しているかによって企業が

評価される時代になる。