働きたくなる職場とは Vol.5「あえて波風をたてる」


満場一致の意見は危険である。

誰もが疑いをはさまなかったことを

善しとしてはならない。

意見はあったが言わなかった、あるいは

「言えなかった」だけかもしれない。

その可能性を常に疑うべきである。

 

企業・組織は一般的に、反論や異論を

嫌がる傾向がある。もちろん組織を

維持するためには、むやみやたらに

すでに決まったこと、実行に移されて

いることに対して異論をさしはさむ

輩を抑えることは必要であろう。

 

だが、決定を行う前の検討、議論の

段階において異論を口にする者、

抵抗しはみ出す者を煙たがり、蚊帳の外に

置こうとすることは極めて危険である。

 

そんなことをすれば、異論を言うこと

そのものが自分を不利な立場に追い込む、

あるいは排除される原因になる、と人は

考える。そんな恐怖を抱いた人は口を閉ざす

 

そんな組織を変えよう!自分がたちあがろう!

そうやって、悪に立ち向かうヒーローよろしく

組織と戦おうと立ち上がる人がいるのは、

小説やドラマの中だけの話だ。そうしないと

ストーリーが始まらない。

 

現実の大多数のケースでは、その空気を感じ

たなら黙って口をつぐみ、黙って組織を去る

選択をするだけだ。

人手不足のこの時代、えり好みしなければ

転職先にそれほど困ることはないのだから。

 

十人十色という言葉がある。

人はそれぞれ違うバックボーンを持ち、

スキルや経験を持ち、意見を持つ。

その結果、見えているものが違い、

ものの感じ方も違う。それだから、

なにかに対して意見を求めた際には、

本来、満場一致の意見がなされることの

ほうが少ないはずである。

 

そんな違いを認めないどころか

「ある傾向」「ある方向性」を持った

ものの見方、考え方、感じ方をしない

人を無視・排除して進めようとする

ことは危険である。

その結果が「みせかけの」満場一致

生み出していくことになる。

 

「何を言ってもムダ」というあきらめ

ムードが漂う組織になっていないか?

違う意見や主張をして組織に波風を立てる

人間を受け入れる余裕、懐の深さを持つ組織

になっているか?そういう自問を忘れ、自己

診断をしない組織に、活力もイノベーションも

生まれる余地があるとは思えない。

人を引き付ける魅力もない。

 

違う意見を持ち、波風を立てる人を

排除し続けた結果、その組織自体が

社会から排除される日もそう遠くは

ないであろう。

 


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