企業・組織を維持、発展させていくには
「能力のある人を採用し」
「その能力を十分に発揮してもらい」
「きちんと評価して」
「そのことにしっかり報いる」
これらのプロセスが必要である。
どれも欠けてはならない。
どのプロセスにも、人の能力に関して
厳しい評価をすることが必要である
ことが共通している。
つまり、能力以外のことを能力よりも
重視して採用、あるいは人事をしては
ならないということだ。
人事部門にいたときによく耳にしたのは
「〇〇さんはよくやっている」
「(採用しても)良さそうな人じゃないか」
などという評価だ。
これは感想を述べているに過ぎない。
もっと言えば、好き嫌いという感情だけに
よって評価を下しているにすぎず、こんな
評価しかできないのなら管理職や面接官は
外れるべきである。
評価は実績・成果に応じてするものだ。
そして、能力が足りなくて成果をあげる
ことができていない、あるいは採用基準に
達してない場合には、容赦なくその仕事
から外れてもらい、あるいは不採用にする
ことが必要だ。
能力が足りない人を、いつまでも成果を
あげることが叶わない仕事につけておく
ことは残酷である。速やかに外して
あげることだ。
能力は相対的なものなので、ある仕事で
成果をあげることができないからといって
「絶対的な能力不足」と判断するのは早い。
つまり、向き不向きがあるということだ。
組織にはほかの仕事もあるのだから、異動
させることが上司としての仕事である。
能力の問題であることを自覚して能力
向上に努めているのであれば、もう少し
処置を待つことも忘れてはならない。
また、そうではなくボーっとしている
どうしようもない人間であっても、
退職を勧告することに慎重であるべき
である。
なぜなら、人には自尊心があるからだ。
なんとなく自覚していたとしても、自らの
能力について他人から「否」を突き付け
られることに耐えられる人は少ない。
だから、自尊心を傷つけないよう慎重に
伝えねばならない。
能力によって評価を下すことには厳しくても、
人に対しては厳しくあるばかりでなく、
人を人として敬意をもって遇することが
肝要だ。
能力がないと判断した人を冷たくあしらい、
退職に追い込むために閑職に飛ばしたり
するなら、その企業・組織は、人を扱う
能力に欠けているといわねばならない。
そんな扱いをしたことは、それを見ていた
社員がいつまでも覚えている。
「倫理に時効はない」のである。
いつの日か、厳しく罰せられるだろう。