企業・組織にとって人材が何よりも大切だ。
人材に投資することなくして企業・組織の
存続も成長もない。このことを否定する
ところはないと思うが、その言葉通りに
行動するところは非常にまれである。
それが最もよく表れるのが、人材採用に
対する時間とお金の使い方だ。
不況になったら真っ先に人員整理、
社員を死ぬまで働かせることを
なんとも思わない。
そこまではいかなくても、社員を
ろくに育てることもしない。
社員をいくらでも代わりの利く駒ででも
あるかのように扱い、味がなくなった
ガムのように役に立たなくなったら
ポイと捨ててもなんとも思わない。
そんな企業・組織がとる行動が
「人材採用に時間もお金もかけない」
である。「諸悪の根源」だ。
人材採用はお金が儲かるわけではない。
かけた時間に対して実りも少ない。
実るのも数カ月、あるいは数年かかる
ことも少なくない。
アウトソーシングやAIの導入によって
効率化、省人化はできる。しかし、
それはどこまでいってもサポートまで
である。最後の部分はどうしても人材に
よるしかないではないか。
しかし、商品を売ってお金を稼ぐのも、
新製品を開発したり、新規顧客を開拓
したりという成果をあげるのも、人材に
よってしかありえない。そのことが
わかっていながら、人材採用に時間も
お金もかけないのは、どうかしている
としか思えない。最も罪深いことで
あるというほかはない。
企業・組織は、商品が売れなくなって、
お金が無くなって倒産するのではない。
それは「人材に恵まれなかった」こと
による結果に過ぎない。そして人材に
恵まれなかったのは、取りも直さず
人材に時間もお金もかけなかったため
であり、時間もお金もかけたくないと
いうその考え方にその根源がある。
「人材採用には時間はかけられない」
「できるだけ安く募集、採用したい」
「賃上げや待遇改善は、人手不足を
解消し、優秀な人材を採用するため
仕方なくやっている」
こう考えている企業・組織があると
したら、倒産へまっしぐらであると
いわざるを得ない。これからの
「卒業」時代の人材採用について
いくことができず、自然淘汰される
であろう。
いっそのこと、つぶれてしまった
ほうが社会のためである。そんな
人材の墓場につかまって抜け出せ
なくなる犠牲者が出ないからだ。