人材採用に有利な環境づくり VOL.6「カカワリ」


Facebookによる、個人情報保護に関する

対応をきっかけとして個人情報保護、および

データ社会に関する警戒が強まっている。

その影響が、いわゆるターゲティング広告に

及んでいる。企業が求職者の応募を集める

方法として、これまではネット広告を使った

効率的なやりかたが注目されてきたが、

その流れが急激に逆回転し始めている。

 

Facebook、Googleを始めとした巨大IT

企業の収益の根幹が、ターゲティング広告だ。

検索ワードやSNS投稿によって集めた膨大な

データをもとに、細かいターゲットを設定して

広告を打つことができるのが強み。すなわち、

テレビや新聞広告の不特定多数にではなく、

反応しやすく、必要としている人だけに

届けることが、かなりの精度で可能だからだ。

 

しかし、これが行き過ぎると差別になるという

認識が強まった。その一つが求人情報である。

細かいスペックを設定してそれを満たす人に

対してだけ広告を打てるということは、裏を

返せば「見せたくない人を避けて広告を打てる」

ということでもあるからだ。

 

つまり、住んでいる地域や人種、思想等、

ネットから収集された情報をもとに、

本人も知らないうちに「選別」され、

どうやってもアクセスできない求人が

存在する、ということである。

 

新卒就職活動においての「学歴差別」も

これに類すること。毎年のように出てくる

話だが、二流の大学名では募集が締め切られ

ていてアクセスできなかったのに、一流の

大学名を入力したらアクセスできた。つまり

学歴においてある基準をクリアしていないと

応募すらさせてもらえない求人が存在する、

ということである。

 

このような「選別」は、本人が気づかないうちに

なされているという点で、ターゲティング広告と

仕組みは同じである。このような求人のやり方を

する企業に対する目は厳しい。

 

人材採用において広く門戸を開くことなく、

恣意的で差別的な基準を設定しているという

イメージは致命的である。そんな「悪徳企業」

で働きたいと思う人はいない。

 

広く人材を募集するというスタンスを取る

ことの重要性が増している。これからは

ターゲティング広告を使って求人募集を

していることが「差別的」であるという

見方すらされるかもしれない。

 

このことを避けるには、あらゆる国、年齢、

地域、経験、スキルを持った手厚い層の

人材と、関わりを保持することが必要である。

具体的には、社員の個人的なつながり、

地域や地元との関わりによる「顔の見える」

カカワリをどれだけ持っているかが重要に

なるということではないだろうか。

 


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